【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有

自分の気持ちに気付いてからこの一週間、しんどい事ばっかり。

意識なんてしたくないのに、雪ちゃんは平気でくっ付いて来たりするし、その度にドキドキしてそのあと凄く落ち込んで……。そんな事を繰り返してばかりいた。

「江奈っち、もしかして……」

そんな私を見て、勘の鋭いハナちゃんが何かを察したのか言葉に詰まる。少し悲しそうな、哀れみの様な、そんな表情をしながら。

「……ハナちゃんには隠せませんね」

「え……まさか、本当に……?」

「はい。そのまさかです」

私は力無く笑った。……多分。笑えていたと思う。

「……どうしてそうなったの?だって、江奈っちは最初から分かっていたじゃない、アイツが男を好きだって……」

「そう、なんですけどね……」

酔っていたとは言え、流石に『キスされて襲われかけました』とは言えなかった。そんな事を話したら、それこそ大変な事になり兼ねない。

「……どうするの?」

おずおずと、ハナちゃんに聞かれる。

「あ、気持ちを伝えるつもりはないです。困らせたくないし」

私は湿っぽくなりたくなくて、出来るだけあっけらかんと答えた。

「江奈っちはそれで良いの?」

「良いも悪いも、仕方ないですよ。この一連の騒動が落ち着いたらアパートへ帰るつもりですし、そうしたら私と雪ちゃんの接点は何もなくなる。……元に戻るだけです」

時間がかかるかもしれないけど、それでこの気持ちも無くなればいい。

「江奈っち……」

私より、ハナちゃんの方が泣きそうな顔をしている。

「……ふふっ。ハナちゃん、鼻が真っ赤ですよ」

泣くのを我慢しているせいで、赤鼻のトナカイみたいに赤くなっている。

「だ、だって……!」

グスッと真っ赤な鼻をすする。