「いらっしゃーい!待ってたわよん♡……あら。雪ちゃんも居るのね」

私を見て、ニコニコ笑顔でこちらへかけ寄って来たと思ったら、雪ちゃんの顔を見るなり怪訝な顔をする。

「居ちゃ悪い?」

「ええ、悪いわね」

二人の間でバチバチと火花が散る。最近、顔を合わせるとすぐこれだ。私は気付かれない様に、小さく溜め息を吐く。

「ハーナちゃん。今日は宜しくお願いします。これ、お土産です」

私は、火花を散らしているハナちゃんの目の前に、昨夜作ったマフィンを差し出した。

「あらー♡ありがとう!美味しそうねぇ!」

ハナちゃんの目が、パァァッと輝く。

「ささっ!江奈っちはこっちね♡」

私は背中を押されながら厨房へと連れて行かれる。

「雪ちゃんは適当に座ってなさい。コーヒー位なら出してあげるわ」

ハナちゃんが雪ちゃんに向けて、手を「シッシ!」と振った。ハナちゃん。犬じゃないんだから……。