「……………」

私の話を、途中までうんうん、と頷きながら聞いていた津田部長が、話が終わった後、何か考え込んでいる。

やっぱり、こんな話されても困るだけだったかな。ちょっと後悔した。

「津田部長……?」

「……………」

「あの……」

すると突然、本当に唐突に津田部長が『アタシが彼氏になってあげるわ』と言った。

「…………は?」

津田部長の言っている意味が理解出来ず、私の頭の上には「?」がいっぱい浮かぶ。

「あ、ちょっと違うわね。彼氏『役』になってあげる。が正しいわ」

「はぁ……」

そう言われてもまだピンと来ない私は、口をパカーっと開けて気の抜けた返事をする。

そんな私を見てちょっとイラついたのか、津田部長が「だ・か・ら!」と人差し指を立てて私の顔の前でブンブン振り回した。

「アタシが美園さんの彼氏役になって付き合っている『フリ』をすれば、笹木に言い寄られる事ももうないでしょって事よ」

「あ……あぁっ!」

なるほど、そう言う事か!やっと理解出来た。

「他の男に頼んでも良いんだろうけど、アンタ美人だからそいつに好かれる様な事があったらまた危険だし、その点アタシならそんな心配もないし」

津田部長は、一人で頷いて一人で納得している。