小夜啼鳥が愛を詠う

今年のお正月以来だから、3ヶ月もたってないのに、薫くんが成長してる。

玲子さんの言うところの「クソガキ」じゃない。
ひょろりと背が伸びて……少年とはもう言えない雰囲気。

「そう?薫、身長いくつになったの?」

光くんにそう聞かれて、薫くんはボソッと答えた。

「156。」

え!?
声っ!
薫くんの声っ!!

前と違うー!

えええーーー?
声変わり?

ひやー。

身長も、いつの間にそんなに伸びたの?
前は私を見上げてたよね?
今、ほとんど同じ目線じゃない?

……男の子って……すごい。

てかさ、光くんは、ほら、未だに性別不明と言うか……。

でも薫くんは、ハッキリと男っぽくなった!

「あっという間に、身長、抜かれるね。」
そう言ったら、薫くんの頬が少しあかくなった……気がした。

うわ。
なに?その新鮮な反応。
ほんっとに、別人みたい。

「僕より大きくなるよ。足のサイズも薫はおっきいから。じゃ、行こうか。」
光くんは、いつも通り、私と薫くんの手を取った。

もうすぐ高校生なのに、それでも手をつなぐのね。
うれしいけど、気恥ずかしい。
たぶん薫くんも、同じなんだろうな。
ばつが悪そうに、それでも光くんの手を振りほどくこともなく、従容と歩いていた。


「……なんか、薫くんが寡黙になっちゃった。いつでもどこでも、うるさいぐらい騒いでたのに。」
電車に乗っても静かな薫くんが珍しくて、そう言った。

にこにこ笑う光くんをちょっと睨んで、薫くんが言った。
「……出よらんねん。声が。かすれて。」

「ふふ。声変わりが始まったばかりで慣れないみたい。あと、ちょっと反抗期?さっちゃんに逢えないってずっと怒って僕に八つ当たりしてたもんねー。」

「光。うるさい。」
ぶすっとして、薫くんが光くんを止めた。

光くんは、おどけて肩をすくめた。


3人の京都旅は楽しかった。
これまで走り回って大騒ぎしてた薫くんは落ち着いちゃったけど、光くんはテンションが高くてキャッキャとはしゃいでいた。

今回は、光くんの住んでたお家の前を通り、慣れ親しんだ梅の香りを楽しむ為に天神さんの梅園を訪ね、噂のやわらかいお水を味わった。
名物のお餅もお豆腐も、おいしかった!

「薫くんも、京都の思い出ある?」

そう聞いたら、薫くんはニッと笑った。

……口数が減っただけで不機嫌てわけじゃないみたい。