小夜啼鳥が愛を詠う

「めっちゃ説得力ある。」

私がそう言うと、玲子さんは苦笑した。

「……そういうこと。わかったら、あの子以外の男にも目を向けてみなって。さっちゃん、ちゃんと愛されてるんだから。」

へ?

「誰に?……あ、パパ?」

まあ、確かに、パパは実の父親じゃないけど、それでも親子愛だと思うよ?

でも玲子さんは、ふふんと笑った。
「章(あきら)はなっちゃんのもんだから、ダメ。てか、気づかない?さっちゃん、もてるでしょ?……まあ、あの子の存在が大きくて、さっちゃんに特攻かける男子はなかなかいなかっただろうけど。高校に入学したら状況も変わるし、誰かに告白されたら、無碍に断らず、とりあえずつきあってみなさいな。……て、こんなこと言ったら、章やクソガキに怒られるわね。内緒。」

釣られて私もほほえんだ。

そうね。
突然、よく知らない男子とつきあい始めたら……パパや薫くんはもちろんだけど、光くんも心配してくれるね。

今日の外国人男性との一件を思い出して、何となく気持ちが楽になった。

「ありがとう。玲子さん。……ところで、玲子さんは?成之さんのことはもういい、って、思えるようになった?……愛されてるんでしょ?御院(ごいん)さんに。オフィスラブ満喫中?」
そう尋ねると、玲子さんの頬が赤く染まった。

やっぱり、ね。
玲子さんは、仕事を始めてどんどん綺麗になった。
でもそれだけじゃない。
なんてゆーか、ギスギスしてない気がする。

「……そんなんじゃないわよ。まだ返事してないし。」
玲子さんが、ボソッとそう答えてくれた。

……てことは!

「じゃあ、御院さんは玲子さんのこと、やっぱり好きなんだ!え!告白されたの?いつ!?」
前のめりにそう尋ねた。

「告白って……あのね。もう若くないんだから、そーゆーんじゃないの。もう。恥ずかしいな。私の話はいいから!」

「よくない!聞きたい!」

今後の参考に、とかじゃない。
玲子さんが心配だもん。

それに、玲子さんが幸せになれないと……成之さんはいつまでも独りでいる気がする。

「……好意は最初から感じてたわ。御院さんとはつきあい長いの。あのかたが神戸に来られてすぐ言葉を交わすようになったし。……仕事の世話をしてくださって……私が独身とわかって……遠慮がなくなったみたい。清昇(せいしょう)くんと二人がかりで、こんな私を望んでくださって……もったいないことだわ。」

そう言って玲子さんは合掌した!

びっくりした!
今までそんなことしたの、見たことなかったよ。

玲子さん、いつの間にか御院さんに染まってるんじゃないの?

ニヤニヤ見てると、玲子さんは慌てて手を下ろした。

「もう。そんな顔して。章みたいよ。」

パパ?
うれしいかも、それ。
血はつながってなくても、パパの影響受けてるのかな。