小夜啼鳥が愛を詠う

菊乃天人にそう言われて、さっそく建築関係にどんな資格があるのかを調べてみた。

そしたら、びっくりするぐらいたくさんの資格があって、途方に暮れそうになった。

まあでも、大工さんや設計の実務経験を伴う資格は置いといて、今の僕がチャレンジ出来得る難易度の高い資格を狙うことにしようと思う。

とりあえずは、公認会計士と宅建かな。

どちらも、マスターの所有する不動産管理にも役立つだろう。

「……そうか。まあ、がんばり。」

お父さんはそう言ってソファから立ち上がると、慌てて同じように立った僕の肩をぽんと叩いた。

「うちの娘だけやなくて、家内も、ばーさんも、君を買ってるみたいや。ゆきぼんは、笑うぐらい、君を警戒してるわ。せやし、君に逢うのん、楽しみにしてたんや。……そしたら、夕べ、珍しいヤツから電話があってな……君、池上とも親しいんやて?」

宗真さん!?

「……はい。あ、いえ。親しいと言うか、相談に乗ってもらってました。……宗真さんや菊乃さんほどじゃないけど、僕も……亡き父の念にとらわれてたことがあったので……。」

余計なことは言わないように言葉を選びながらそう言った。

菊乃天人のお父さんは、特に疑う様子もなくうなずいて聞いてくれた。

「ふーん。なるほど。せやし、池上は君のことを心配してるんやな。……俺が君のことをいじめへんように釘さされたわ。」

……宗真さん……。

胸が……あたたかくなる……。

側にいなくても、以前のような関係じゃなくなっても、僕のことを気にかけて、守ろうとしてくれてる……。


僕は、宗真さんに力をもらって、会場に戻ろうとする菊乃天人のお父さんを呼び止めた。

「僕も!……宗真さんが僕を支えてくれたように、菊乃さんの力になりたいと思いました。菊乃さんが不安なら、現在だけでなく、未来もそばにいると約束したいと思っています。……正式には、菊乃さんが婚姻可能な年齢になったら改めてお願いするつもりです。それまで、近くで見守らせてください。」

……言った。

けっこうしっかり、言ったよな?


自分の鼓動が鼓膜に直接、振動してるような気がする。