小夜啼鳥が愛を詠う

「……告白……かも。うん。……いや、光が好きとかはもうとっくにゆーてるけど、それじゃなくて……あのね、死んだおばあちゃん……、妹のあやちゃんのこと……忘れてはってん。てゆーか、知ろうとしはらへんかってん。……ずっと、自分のことでいっぱいいっぱいで。10年ぐらい前に、故郷の実家の菩提寺からお墓の管理費の更新通知が来て……おじいちゃんが問い合わせて、やっと知らはってん。あやちゃんが苦界(くがい)にいたことと、とっくに死んではったこと。それからおばあちゃん、あやちゃんがいたあの街を徘徊しはるようになって……心配やから、私、いつも一緒に行っててん。」

はなちゃん……そうだったのか……。

あやちゃんが双子だったことは既に僕たちは知っていた。

でも、2人は連絡を取り合っていなかったようだし、とっくに切れた縁なのだと思っていた。

はなちゃんは、和裁学校に入学したけれど卒業せずに辞めたこと、一度の離婚を経て再婚して亡くなったということだけは知っていた。

今は無理だけど、昔は他人でも戸籍抄本を取ることができたので、そこまではあーちゃんが確認済だ。

……普通の暮らしをしているはなちゃんに、今さら遊女となって死んだ妹の話をしに行けないので、それ以上の詮索はしなかった……。

はなちゃんが亡くなった段階で、うちとは完全に縁がなくなったと思ったんだけど……まさか、こうして、またいとこ同士が出逢うなんてね。


「そっか。はなちゃんおばあちゃん、あやちゃんに逢いに来てくれたんだ。……あやちゃん、うれしかっただろうね。」

そう言ってから、気づいた。

「……うれしかったんだ……。だから、今も菊乃さんにまとわりついてるんじゃない?はなちゃんがもう亡くなったことを知ってるのか知らないのか、わかんないけどさ。……あやちゃん、菊乃さんをお友達みたいに思ってるみたいだし。」

僕がそう繰り返すと、菊乃天人は自分の左胸に手を当てて首を傾げた。

「……お友達……?」

「うん。お友達。菊乃さんの舞に反応するのも、たぶん、共鳴してるんだよ。はなちゃんの心が。……怖がらないで……耳を傾けてみたげたら?」

「共鳴……。」

菊乃天人は、なおも胸を押さえていた……。



2人でそんな話をしてると、門の横の小さな木戸が中から開くのが見えた。