小夜啼鳥が愛を詠う

わかったかな?

……まあ、確かに……全部、僕の絵と言っても差し支えないぐらい、似てるけどさ。

「僕の絵と、父の絵と、あやちゃんおばあちゃんの絵があるはずだけど。……どう?はなちゃんおばあちゃんに似てる?」

「……似てる……。こうして見たら、似てる。あやちゃんは、とーさまや、にーさまが女舞してるときにそっくり。おばあちゃんに似てるのは、むしろ、この……光のお父さん?お母さんじゃなくて?女のヒトみたい。」

なるほど。

はなちゃんは、彩瀬パパの伯母だもんな。

似てても全然おかしくない。

「内面も同じような感じだったのかもね。……僕の父も、浮き世離れしてたみたいだよ。……てゆーか、何も考えてないというか……無邪気な天使というか……。」

「……光はけっこう黒いのにね。」

菊乃天人はそう言ってしまってから、慌てて口を押さえた。

ちょっとびっくりしたけど、まあ、その通りだ。

「よくわかってるね。」

猫をかぶる必用もなさそうなので、あっさり認めた。

「菊乃さんも、おもしろいよ。初めて会った時はけっこうイケズっぽかったのに、今は素直でかわいい。」

さらりとそう続けると、菊乃天人は頬を染めた。

「……イケズちゃうもん。……あれは……光が……女連れやったから……。」

ああ。

確かに、さっちゃんと一緒だった。

「ふぅん?余所者のくせに女の子相手に京都のことを語ってたのが片腹痛かった?」

……そうじゃないよね。

こみ上げてくる愉悦を、出さないように我慢する。

菊乃天人は、僕の顔を見て、ため息をついた。

「……絶対、光のほうがイケズやし。」

そして、今度は僕をキッと睨んだ!

「もう!わかってるんやろ!……地下鉄の中で、一目惚れしたん!」

地下鉄?

「いや。気づかなかったな。……じゃあ、あの時、同じ電車に乗ってたんだ……。」

僕が菊乃天人に気づいたのは、白川沿いを上がってる時だった。

その前に、僕を見つけていたのか。

ぷくっと、菊乃天人は頬をふくらませた。

「光は美人の彼女しか!!!見えてへんかったもん。」

……そうかもしれない。