小夜啼鳥が愛を詠う

「はーちゃんは、僕は、知らないなあ。菊乃さんは、逆に、はーちゃんを知っていて、あーちゃんのことは知らないのかな?」

さりげなく、あやちゃんをあーちゃんと呼んでみた。

何の確信もなかったけれど、それが、あやちゃんの愛称のような気がした。

はなちゃんがはーちゃんなら、あやちゃんはあーちゃんだよな。

それに、僕の母のことを、彩瀬パパだけが、なぜか小さい頃からあーちゃんと呼んでいたと聞いている。

よくわからないけれど、由縁するのかもしれない。


「難しいこと言われても、うち、わからへんわ……。」

そう言って、あやちゃんはぶるぶるっと首を横に回した。


……そういや、扇屋の彩瀬さんは精神年齢も知能も低かったんだっけ。


「ごめんごめん。じゃあ……あーちゃんは菊乃さんが好き?」

さっきと同じ質問なのに、今度は、あやちゃんはうれしそうにうなずいた。

「好き!」

……今なら、このレベルの質問には機嫌よく答えてくれるらしい。

「菊乃さんとお友達になりたい?」

根気よく同じ質問を繰り返した。

「うん!」

「……でも、菊乃さんは、あーちゃんが怖いみたい。……あーちゃん、菊乃さんに悪戯したことあるの?」

そう尋ねると、菊乃天人の中のあやちゃんは、艶然とほほ笑んだ。

そのままニコニコとほほ笑み続けるだけのあやちゃん。

……都合の悪いことは言いたくないって感じかな?


「そっかぁ。自業自得だねえ。仲良くなりたいなら、菊乃さんに優しくしたげてよ。」

そうお願いしたら、あやちゃんは、くすくす笑いながら僕に手を伸ばして、グイッと引き寄せた。

「え……。」

あやちゃんは妖しく笑いながら僕に顔をずいっとくっつけて、吸い付くようなキスをした。


……おいおい。

菊乃天人の身体で何をしてくれるかな。

成長するまで手を出さないつもりだったのに……。


「……抱いて。」

……しかも、そんな……菊乃天人のカワイイ声で、何てことを言うんだ……。


「ダメだよ。あーちゃん。」

僕はそう言って、そっと押しのけた。

「やぁん。」

わざわざ身体を捻って、裾を開き、足を露わに見せながらそんな声を挙げたあやちゃんは、確かにむしゃぶりつきたくなるほどに煽情的だった。