小夜啼鳥が愛を詠う

……つまり、まとめると、こーゆーことらしい。

舞ちゃんのママは、かつて木屋町の風俗嬢だったそうだが、組長に見初められて愛人になり、舞ちゃんが生まれた。

組長にあてがわれたマンションと月々のお手当で、舞ちゃんはママと2人で暮らしていた。

小学5年生の運動会で、舞ちゃんのママは、かつての常連客と再会し、過去の職業をネタに関係を迫られた。

当然断ったところ、父兄のメーリングリストで舞ちゃんママのあられもない写真をさらされ、舞ちゃんは風俗嬢の娘と虐められるようになった。

舞ちゃんは学校に行けなくなってしまった。

登校拒否してるうちに、舞ちゃんママが乳癌を発症した。

施設に馴染めない舞ちゃんを父親の組長が引き取り、2人で舞ちゃんママを看取った。

住所も学校も名字も変わり、舞ちゃんは登校し始めた。

今度は、ヤクザの娘ということで、目に見えて虐められることはないけど、腫れ物に触るような扱いがつらい。

舞ちゃんが心を開けるのは父親である組長と、さっきの荒沢さんと、登校拒否になる前から日舞のお稽古で仲良くしていた菊乃天人だけ。



「でも、笹治(ささじ)さんは、舞ちゃんを組から遠ざけたいねん。カタギとして生きて欲しいって。……それも親の愛情ってよくわかるんやけど……舞ちゃん、荒沢さんと笹治さんに依存してるから……。」

笹治さんは、組長の名字だ。

「……別に、中学1年生なら、親に依存するのは当たり前だと思うけど。」

僕は淡々とそう言った。

菊乃天人は曖昧な表情で僕を見た。

「暴力団の親でも?」


……また、試されてる……気がする……。

やれやれ。

舞ちゃんの話は、本気で、どうでもいい。

けど、菊乃天人もまた……彼女自身に対して何らかの偏見を抱かれることに不安を感じているような気がする。

めんどくさいお嬢さんだな。

他人のことはどうでもいいから、菊乃天人自身のことを話してくれよ。

何でも受け入れるからさ。

……まあ、心を開く過程が必要なんだろうけど。