小夜啼鳥が愛を詠う

幼い頃、さっちゃんと、数え切れないぐらいキスしたじゃないか。

キスぐらい、挨拶とは言わないけれど、いくらでも、誰とでもできるさ。

なのに、どうして忘れられないんだ。


小鳥のように、震えていた……。

さっちゃん……。





「だからって、……ちょっと御乱行が過ぎるんじゃないの?人相、変わってるで?」

宗真さんの言う通りだ。

でも僕は、それからずっと、苦しくて苦しくて……。

「……毎日が天国と地獄をループしてる。さっちゃんのことを四六時中見つめていたいし、守りたい。でも、同じぐらいさっちゃんを犯したいって思ってる。」


その頃、僕が泣き言を吐き出すことができたのは、宗真さんと、中学の美術教諭の明田さんとぐらいだった。

……もっとも、明田さんは、精神的には甘やかしてはくれたけど、僕の身体には相変わらず触れようともしない。

ヌードモデルまでしてるのに……意志の固いヒトだ。



「犯すぐらいなら、ちゃんと抱いてやればいいのに。別に、まっさらのまま、弟くんに引き渡さんでもいいやん。」


宗真さんは、若干……いや、たぶんけっこう……かなり?……若い頃に、非道な遊びをしてきたのかもしれない。

根本は優しいイイヒトだと思うけど、特に性的なことに対しては多少鬼畜な発言をする……気がする。

まあ、僕も常識的じゃないのは自覚しているので、ヒトの事は言えないが。


「やだよ。ますます好きになったら、目も当てられないじゃないか。」

てか、確実にそうなってしまいそうだ。


「……まあ、肌を合わせたら、離れられなくなるってこともあるか……。」

妙に納得したらしく、宗真さんは僕を抱き寄せて、服を脱がせて、再びしっかりと抱きしめた。

束縛はしないけれど執着はしてくれる……まったく、理想的なセフレだよ。

不満は、逢いたい時にすぐに逢えないことだけ。

基本的には忙しいヒトだし、何と言っても、住まいが遠い。

真夜中に、火照る身体を持て余しても鎮めてもらえない……。