小夜啼鳥が愛を詠う

同じクラスにはなれなかったけれど、休み時間のたびにさっちゃんを訪ねた。

一石二鳥だ。

僕は心の平安を得られる上に、まるでさっちゃんとつきあってるかのように周知できた。



変化が起きたのは、いつ頃だろうか。

ハッキリと時期はわからない。

だが、僕は確かに誤魔化しきれない想いを持て余し始めた。

さっちゃんを眩しく感じ始めて、僕は罪悪感にも似た気持ちをも抱えることになった。



同じ頃、さっちゃんの僕への想いも、ハッキリと恋愛感情に確立してしまった。

毎日が天国と地獄だ。

愛しいヒトが僕だけを見つめている……。

手を伸ばせば、簡単に僕のモノにできてしまう……。

僕は自覚できてしまうほど、はっきりと、精神のバランスを失った。


血を分けた弟のほうが彼女にふさわしい。

2人が幸せなら、それでいい。

薫はイイ男になるだろう。

僕よりずっと、彼女を幸せにしてくれるだろう。

……ちゃんと、理性ではそうわかっている。

なのに、僕の目はさっちゃんの姿どころか、幻すら追い求め続けた。


気が狂いそうだ……。



やけくそというわけではないが、好きでもない適当な女との遊びのセックスで気を紛らわそうとした。

さっちゃんと一緒に居るときにはおくびにも出してないつもりだった。

でも、見てるヒトはよく見てるものだ。

さっちゃんの友人の野木さん。

それから、美術教師の明田さん。

観察眼が鋭い2人にはあっさりと見破られたらしい。



特に明田さんは、実の父親である彩瀬パパに惚れ込んでいたというヒト。

明田さんの語る彩瀬パパは、あーちゃんやお父さんの語る人物像とはまた違い、もっと人間臭くて生々しかった。

報われない想いに心をかき乱されている僕は、彩瀬パパにも、明田さんにも強いシンパシーを感じた。

僕は明田さんには素直に甘えられるようになった。

さっちゃんのことも心ゆくまで話せたし、他の男や女との関係も愚痴れた。