小夜啼鳥が愛を詠う

驚いて、おばあさまを見た。

おばあさまは、苦笑してうなずいた。

「……去年、主人と義人が、朝秀春秋くんの結婚式で桜子ちゃんに逢わはったでしょ?そのあとやわ。いざやが『さっちゃん』って言い出したんよ。」

……さっちゃん……って……セキセイインコが覚えるぐらい、つぶやいてたの?

それとも、わざわざ教え込んだの?

どっちにしても……義人さんてば……もう……。

インコに語りかけるぐらい想ってくださってたなら、いつでも連絡くださったらよかったのに……。

私も、あれからずっと……会いたかったのに。

涙が……勝手にホロホロと零れ落ちた。


薫くんが黙って私の両肩に手を置いた。

わだかまりがなかった、と言えば嘘になる。

私自身のアイデンティティに大切なピースが足りないまま……そのことに気づかないふりをしていたのかもしれない。

……家族にはなれないから。

でも、私の存在は疎まれていない。

誰にも……恨まれていない……。

それどころか、会社を託されようとしている。

もう充分だ。

家族じゃない。

でも、まるで近しい親戚のように受け入れてもらっている。

……それ以上よね?

私……ちゃんと、肉親に……愛してもらってる。


「あー!さっちゃんや!」

振り返ると、去年よりさらに女性として成長したまいらちゃんがいた。

……私のこと……さっちゃんって呼んでる……。

「まいらちゃん。お行儀悪いわ。ちゃんとご挨拶なさい。」

おばあさまがそうたしなめる。

由未さんが、まいらちゃんの背中をそっと押した。

まいらちゃんは、弾むように前に出て、ぺこりと頭を下げた。

「こんにちは。お久しぶりです。……これで、いい?」

おばあさまにそう確認すると、まいらちゃんは私の顔を覗き込んだ。

「なんで泣いてるん?」

「……あ……えーと……うれしくて。」

そう答えたら、まいらちゃんはホッとしたようにうなずいた。

「ほな、いいわ。私もうれしい!さっちゃんみたいなお姉ちゃん、ほしかってん!」

ドキッとした。

お姉ちゃん……。

動揺する私に、由未さんが言った。

「……夕べ、話したみたい。」

夕べ!