小夜啼鳥が愛を詠う

「いざやくん、頭いいねえ。」

感心してそう言ったら、青い鳥はハタハタと羽ばたいた。

「イザヤ、カシコイ!」

……本当に賢いわ。


「お母さん、まいらちゃんは?」

由未さんがキョロキョロした。

「お部屋で拗ねてる。……あの子、義人たちと一緒にお寺に行きたがったんだけど……遊びじゃないからって、連れてってもらえなくて……。」

おばあさまは苦笑まじりにそうおっしゃった。

「……相変わらず、猊下に横恋慕してるんだ。困った子ねえ。」

横恋慕……。

まいらちゃん、既婚者で、お母さんのお友達の孝義さんのことを……けっこうマジで好きなの?

それは……義人さんに似て、報われない恋が好きなんだろうか……。

うーん。

「じゃあ、私、まいらちゃんのご機嫌うかがいしてくる。」

由未さんはそう言って、再び家の中に入った。


おばあさまは、終始笑顔だった。

薫くんの話に声をあげて笑い、私の言葉に真剣に耳を傾けてくださった。

しばらくすると、少し不安になってきた。

「あの……おばあさま……お身体、おつらくありません?何となく、お顔の色が優れないような……。」

青白いんじゃなくて、何てゆーか、土気色?

切実にヤバそうな気がして怖くなる。

「……大丈夫よ。夕方になると、いつもこうなの。電池切れちゃうのかしらね。……いざやとは正反対。この子は、鳥のくせに夜型なのよ。家族が揃って賑やかになるから、元気になるんでしょうね。」

おばあさまはそう言って、鳥のいざやくんの頬を人差し指の先でくすぐるように撫でた。

いざやくんは気持ちよさそうに目を細め、後頭部も掻いて!とばかりに、頭を突き出した。

……かわいい!

鳥って、ちゃんとコミュニケーションとれるんだ。

「ロシニョールみたいな奴だな。」

くすくす笑って、薫くんもいざやくんに手を伸ばした。

「ロシニョール?なぁに?」

おばあさまが尋ねる。

「ナイチンゲールですよ。小夜啼鳥。日本の野山には生息してないようですが……ここにいたか。」

いざやくんは、くわっと顔を上げて、薫くんの手に移り乗った。

そして、薫くんに向かって発した言葉!

「サッチャン」

……え?

私?