小夜啼鳥が愛を詠う

目の前のやや青い顔色で息を切らしている女性をマジマジと見た。

……似てるはずだ。

血縁上は、実の叔母……なのよね。

造作はそこまで似てないかもしれないけど、やっぱりどこか似通っているのだろう。

あ……。

由未さんの目、義人さんに似てる。

てか、おじいさまによく似てらっしゃるんだ……。

「はじめまして。小門桜子と申します。よろしくお願いします。」

とりあえず、佐々木コーチのことはタブーっぽいかな。

余計なことは言わないように、私は深く頭を下げた。

「……俺は初めてじゃないわ。昔、俺らが京都に住んでた頃、遊びに来てたやんなあ?」

……薫くん……言葉が乱れてる……。

ちょっとハラハラしてると、由未さんは笑顔になった。

「すごい!覚えてるんや!そうそう。むかーし、ね。……なんか、感慨深いわぁ。あおいちゃんと頼之先輩の息子さんが……桜子ちゃんと結婚って……。」

由未さんの目尻から滲み出た涙が、青白い頬をすーっと流れた。

……好意的に捉えてくださってるらしい。

ホッとした。

「由未ちゃん。座ったほうが……。」

天花寺さんが、支えるように由未さんを抱き、近くの床几に座らせた。

「桜子ちゃん、ここ。どうぞ。」

ぽんぽんと、すぐ隣を叩いて、由未さんが私を呼ぶ。

「ありがとうございます。」

とりあえずそうお礼を言って、私も横に腰掛けた。


「じゃあ僕らは、先にお抹茶をいただいてくるよ。……薫くん。ご一緒に。」

「……え……。」

天花寺さんに誘われて、薫くんは私を見た。

くすりと由未さんが笑った。

「大丈夫。何も、取って食うわけじゃないねんし。落ち着いたら、私らも行くし。」

薫くんは、渋々、天花寺さんの後ろについていった。

「……変わらないのねえ。薫くん。物心ついた頃には、あおいちゃんを呼ぶよりはるかに多く、桜子ちゃんの名前を連呼してたよねえ。初恋を叶えたかあ。すごいなあ。意志の強さは両親譲りやねえ。」

ほほえんでそう言ってから、由未さんは私をじっと見た。

……き、緊張するわ。

ドキドキしてると、由未さんはふっと表情を和らげた。

「お兄ちゃんにも、夏子さんにも、似てはるわ。いいなあ、美人で。」

「……母を……ご存じですか……。」

そう尋ねると、由未さんはうなずいた。