小夜啼鳥が愛を詠う

「あ。報告してなかったね。ごめんごめん。うん。双子を妊娠中~。切迫流産やばくて、先週までずっと寝たきりだったの。」

ああ!

それで、私たちの披露宴も欠席だったんだ。

体調悪いってゆーから、てっきりインフルエンザか何かだと思ってた。

「……大変やったのね。でも、安定期?双子ちゃんって、すごいね。」

「やー、これからも、確実に大変。覚悟してる。」

野木さんはそう言ってから、薫くんに手を振った。

「小門弟!おめでとう!未来永劫、さくら女を泣かさないように!浮気したら、小門兄に言い付けるからね!」

薫くんは苦笑いして、うなずいた。

「……春秋先生は?」

別にお返しに春秋先生にも釘を刺そうとしたわけじゃないけど、私はキョロキョロ探してみた。

「あ、今、お寺。昼から来ると思う。……舅と一緒に来たの。毎年来てはるから、花より団子……より、酒やって仰って、飲んではる。」

「食いもん、どんなんあるん?」

薫くんも、花は満足してそろそろ団子がl恋しいらしい。

「何でもあるよ~。筍ご飯、おにぎり、お寿司、おうどん、おそば、天ぷら・唐揚げとか揚げ物各種、芋煮、豚汁、ぜんざい、サンドイッチ、フルーツ、ゼリー、ケーキ……」

「なるほど。匂いの強いモノはないのね。……サンドイッチ食べたい。」

……義人さんのサンドイッチを思い浮かべて私はそう口走っていた。

「俺、筍ご飯~。豚汁~。……行こう行こう。」

浮き足だった薫くんが私の手を引いてくれた。

……けど、野木さんはそこから動かなかった。

「野木さ~ん?行かないの?」

「……あ……ああ……あ……。」

野木さんは返事しながら固まっていた。

「どうしたの?……桜?もうちょっと観てる?」

そう尋ねると、野木さんはうなずいて、その場にぺたりと座り込んだ。

え?

さすがにそれは……。

「妊婦さん、地べたに座ったら冷えへんけ?」

薫くんが心配そうに私に聞いた。

「うん……よくない気がする……。どうしよう……。」

私達の心配をよそに、野木さんはかわいいワンピースを着てるのにあぐらをかいて座り、持っていた園内見取り図の裏にスケッチを始めた。

「……あかん……動く気ないわ。桜子、行こう。」