小夜啼鳥が愛を詠う

……わざわざ……それを言いに来たんだろうな。

たぶん、ホッとしたんだと思う。

……よかった。

少しは、義人さんの心を軽くできたなら……うれしい。

あ。

ミラー越しに目が合う……。

絡み合う視線の甘美な心地よさに、頬が緩んだ。

「お兄さんも習えばいいのに……あ……お兄さんは変か……えーと……竹原さん。」

薫くんが、あわあわしてる。

「お兄さんでいいわよね?……お兄さんって呼ばれるの、好きだもんね。」

希和子さんが意味ありげな言い方をした。

「……ああ、園遊会には、妹も来るわ。」

義人さんは、希和子さんの言葉をさらりとスルーした。

「天花寺(てんげいじ)さんとご一緒に?ご挨拶させていただきますね?」

一応そう確認する。

と、義人さんはニヤリと笑った。

「ああ。妹にも、まいらにも挨拶したって。よろしく。」

……まいらちゃんにも?

いいのかな?

まあ、当たり障りなく再会を喜んで、一緒に遊べばいいか。

私は、黙ってうなずいた。

「天花寺……昔も来てた?やすみつ……。」

薫くんがそう尋ねた。

……敬語じゃなくなってるよ~。

ハラハラするわ。

「ん?覚えてるんや、恭満くん。子供の頃は来てたけど、ここ数年は来てへんなあ。忙しいんやろうね。……んー、昔、一緒に遊んだ子達なら、芳澤の子達が来るよ。咲弥くんと菊乃ちゃん。2人で舞を踊ってくれるわ。」

義人さんがそう言うと、希和子さんが息をついた。

「いいなあ。観たかったぁ。」

「こっちは、未来の人間国宝が仕舞いするやん。」

……お寺の能舞台で、能楽師さんが踊るのかな。

「私はたぶん観られへんもん。」

希和子さんが口をとがらせた。

「能……か。今度、行ってみようか?」

薫くんが突然私にそう誘った。

義人さんの目がキラーンと輝いた。

「なに?薫くん、興味あるの?……定期能のチケットあるよ。いくらでもあげるよ。」

「え?ほんま?欲しい!」

……敬語は~?