小夜啼鳥が愛を詠う

げ。

義人さんと同じこと言っちゃったって?

あー……言いそう。

参ったな。


ますます返事に困ってると、玲子さんが手を打った。

「そうか!希和ちゃんにとってのさっちゃんって、私の立場に置き換えると薫くんか!なるほど!クソガキ!とも思うこともあったけど、それより、我が子や成之に似てるところを見つけると、かわいく感じるのよねえ。大丈夫!あんたたち、仲良くなれるわよ。」

……えー……。

いやいやいや。

「玲子さん。違う。薫くんじゃなくて頼之さんよ……あ、私の舅です。薫くんは、さらにその次の世代だから。」

そう説明したけど、
「もー!細かいわね!そーゆーくそまじめで融通効かないところは、希和ちゃんと合うんじゃない?」
と、半ギレされた。

……理不尽だ。

憮然としてると、希和子さんが苦笑していた。

「そうですね。みんな、私たちに気を使い過ぎよね。何も遺恨はないのに。……どうか、仲良くしてください。」

「……ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。あ。まいらちゃん、お元気ですか?もう、舞妓さんのぽっくりに慣れはったかしら。」

そう聞いたら、希和子さんは首を傾げた。

「どうかしら?……ごめんなさい、恥ずかしながら、私、娘のまいらとは、あまり話とかしてなくて……。明日、自宅に居ますので、聞いてみて?」

……えーと……。

そういえば、希和子さん、悩み多き女性だっけ。

実の娘なのに……どうして遠慮してるんだろう。

「じゃあ、さっちゃん。漆器拭くの手伝って。……希和ちゃん、忙しいのよ。お裏方さまの代役を一手に引き受けてらっしゃるから。」

玲子さんが、漆器と布を手渡しながらそう言った。

「坂巻さんの奥さま?……まだ、お身体……良くなられないんですか?」

2人とも押し黙って、うつむいてしまった。

……答えられないぐらい……悪いんだ……。

そっかあ。

「それで、まいらちゃんと過ごす時間がないんですね……。」

「でも、それだけじゃないから。……もともとね、自分の子供なのに、姑に育ててもらったようなものだから。」

希和子さんは、しょんぼりしたままそう言った。