小夜啼鳥が愛を詠う

……私の中の、光くんも……そうかもしれない。

必ず幸せになってほしい……。

竹原さんは、私の言葉を真剣に聞いてくれた後で、ほほ笑んで首を傾げた。

「あおいさん?……姑やろ?今も、さん付けで呼んでるん?小門も?」

「あ。いえ。あおいさんには、今後もそう呼んでほしいと言われたの。舅は、普通にお義父さん、と。」

そう説明すると、竹原さんは、へえ~、と低く相槌を打ってから、ボソッと言った。

「じゃあ、俺も。義人さん。……名字は嫌。役職も嫌。」

いや……って言われても……。

まあ、でも、まさか父とは呼べないか。

「パパやお父さんじゃ、外聞悪いですもんね。」
チクッと嫌味言っちゃった。

でも竹原さんは、ゆっくり首を横に振った。

「いや。そうじゃないねん。……むしろさっちゃんみたいな子が娘やなんて、世界中に自慢したいぐらいや。社長もな、不肖の息子を通り越して、さっちゃんに託したいと思い始めてる。」

え?

意味がよくわからない。

わからないけど……思い当たる節もある。

「あの……私、この会社に入社するんですか?業務提携のための出向じゃなかったんですか?」

思わず、竹原さんにすがるように掴まって、そう尋ねた。

竹原さんは、慌てて両手を挙げた。

……とりあえず、普通に座ろうかな。

うん。

私は、竹原さんから離れて、普通にソファに座り直した。

失礼しました……と、口の中で呟いて。

竹原さんは、いやいや、とごまかして、今度は私のすぐ隣に座った。

脚が……肩が……触れるか触れないかのギリギリの距離。

……意識しちゃうなあ。

「えーと、おじいさまは、私をどうするつもりなのでしょうか。私の存在が、竹原さんの不利益になってしまうのでしょうか。」

改めてそう尋ねると、竹原さんは片頬を上げた。

「義人さん、な。」

「……う……義人さん……。」

そう呼びかけると、義人さんはうれしそうにうなずいた。

「はいはい。……結論から言うと、社長の思いつきは、俺の望み通りや。社長の作ったこの会社は大き過ぎるからな。俺の代ではスリム化して……おいしいとこだけを、さっちゃんに託したいと思ってたんや。」