小夜啼鳥が愛を詠う

「うん。容姿。家内は、昔、ちっちゃいさっちゃんに逢って、ショック受けてんて。これから先、自分が産む子が、さっちゃんほど綺麗なはずないって。」

苦笑する竹原さんは、やっぱりすごく素敵だった。

いや、確かにお顔も整ってらっしゃるけどさ……そんな表面的な魅力じゃなくて、滲み出るものがかっこいいと思うの。

「でも、まいらちゃん、かわいかったですよ?元気で、明るくて。」

そう言ったら、竹原さんはニッコリほほえんだ。

「ありがとう。俺もそう思う。まいらも、家内も、かわいくてしょうがない。……それは、家内もちゃんとわかってるんやけどな。」

胸が……少しだけ、ズキンと痛んだ。

なるほど。

こーゆーことかな。

竹原さんが、奥さまと娘さんを愛してる……当たり前で、ほほえましいことのはずなのに、私は傷つくんだ。

そりゃ、奥さまだって、ママと私の容姿にコンプレックスを抱いて傷つかれることもあってもおかしくないのかな。

「何となくわかりました。……なるべくおとなしくしてます。」

そう言うと、竹原さんは眉をひそめた。

「いや。普通にしてて。不自由な想いしてほしくない。さっちゃんの笑顔が見たい。……幸せ?」

「え……あ、はい。不幸だと思ったことありません。家族仲良しだし……光くんも薫くんもずっと仲良しで……」

そう言ってから、ふと気づいた。

竹原さん、私の父親なのよね?

結婚の報告ぐらいしとくべき?

「あの……今さらかもしれませんが、先月、小門薫くんと結婚しました。今度、紹介しますので……ご挨拶させてください?ご挨拶してください?」

どっちだろう?

私の立場的に、夫の薫くんから竹原さんに挨拶してほしいのか、実の父の竹原さんから薫くんに挨拶してほしいのか……よくわからなくなった。

竹原さんの瞳が潤んだ。

「今さらやけど、おめでとう。……お祝いも、報告も、挨拶も……させてもらえるとは思わんかった。……あきらめてたわ。」

私も……。

また、泣けてきた。

「薫くん、な。俺の母親は、ちっちゃい頃から、薫くん押しやってん。さっちゃんを誰よりも大事にしてくれるって、信頼してた。……小門に似た気骨のありそうな男やん。」

竹原さんはそう言って、ニッと笑った。

「はい。眩しいぐらい衒(てら)いのない愛情をもらってます。幸せです。」

そう返事して、むせび泣いた。