小夜啼鳥が愛を詠う

「……う……。社長が、おじいちゃんって呼べって。私には甘々やのに、息子の竹原さんには怖いし……。天花寺(てんげいじ)さんには、めっちゃ値踏みされてたし……原さん、まるで、私の秘書かお守りみたいで……申し訳ない……。」

ぐずぐずと泣きながらそう訴えた。

薫くんは私の背中をさすりながら聞いてくれてたけれど、最後は笑い飛ばした。

「なんや!よかったわ。冷たくされたり、イケズされたりしとらんのやな?……まあ~、桜子は綺麗なだけじゃなくて、優秀で、前向きな、頑張り屋さんやからなあ。かわいがられへんはずないわ。……って、お母さんがゆーてたで?その通りやったな。よかったよかった。」

くしゃくしゃと頭を撫でられ、顔中にキスの雨を降らされて……私は自然と笑顔になっていた。

……幸せ……だぁ。

「へんねしょう治った?」

薫くんが、私の顔を覗き込む。

へんねしょう……拗ねてるって意味かな?

「うん。たぶん。」

「ほな、夕食しよ。桜子、しんどいやろし、作ってみた。美味くなかったら、ごめんな。」

薫くんは、そう言って、私の手をゆっくり引いて居間へ連れて行ってくれた。

「……うれしい。何作ってくれたの?あ……、筍ご飯もらったの。食べる?」

「食べる!……合わんけど、まあ、ええか。両方食べよ。」


はじめて薫くんが私に作ってくれたのは、カレー。

焦げ臭くも、半ナマでもなく、とても美味しくできていた。

でも、まあ、ありがちなミスだと思うけど……薫くんは、ご飯を炊き忘れたそうだ。

仕方なく、筍ご飯にカレーをかけて食べた。

「美味しいけど、筍ご飯のありがたみがない……。ごめん。」

しょんぼりする薫くんが愛しくて愛しくて!!!

「ううん。おいしい。それに、うれしい。ありがとう。」

文句なんか一つもない。

ただただうれしくて、ありがたくて……幸せだった。



後片付けをして、一緒にお風呂に入って、くっついてソファに座ってテレビを観る。

じゃれ合ってるうちに盛り上がり、そのままベッドへ。

こんなに幸せな時間が、日常生活になるなんて。

「……うれしい。大好き。幸せ。」

何度も何度もそうつぶやき、心地良い疲労を感じて眠りについた。