小夜啼鳥が愛を詠う

「園遊会の招待状です。是非、旦那様もご同行ください。」

原さんがそう言ってくれたけど、私はずっと不安だったことを聞いてみた。

「ありがとうございます。……でも、私がお宅にお邪魔して……ご迷惑をおかけしないでしょうか。」

……主に、竹原さんの奥さんの機嫌が心配なんだけどさ。

言葉にしなかった質問は、ちゃんと伝わっていた。

てゆーか、今さら、なのかな。
既にその辺は考慮されているのだろう。

「桜子は、優しい子やって聞いてたけど……ありがとう。気ぃつかわせて、すまない。桜子は悪くないのに。……義人夫婦は、この日、嫁の実家の寺の行事があってそちらに行く。」

「え……。」

思わず、竹原さんを見てしまった。

あああああ。

ダメだ……。

今日は意識して、見ないように見ないようにしてたのに……視線が……絡み合って……目が離せなくなる……。

また、だ。

この感覚。

いや、でも、父親だし。

いいのよね?




「……あれは、まずかったですね。」

社長室を辞去してすぐ、原さんにチクリと言われた。

「え……あの、何か、粗相がありましたでしょうか……。」

ドキドキする。

原さんはそれ以上は何も言わず、無言で私を小部屋に案内した。

社長室と同じフロアのその部屋は、いかにも私のために調えられているようだ。

事務机とはとても言えない、おしゃれな木のデスクと、白い革張りのソファセット。

花瓶には、桜とかわいい小さな薔薇たちが飾られている。

てか、眺めもすごーい。

うちのマンションを眼下に、御所の緑が広がり、東山連峰。

大文字の大の字もくっきり。

「五山の送り火の時は、特等席ですね。」

そう言ったら、原さんはうっすら笑った。

「夏子さんもご覧になられましたよ。」

ママも……そう……。

「あの、先ほども社長は母の名前を口にしてましたが、タブーというわけではないんですか?」

そう尋ねると、原さんは淡々と答えてくれた。