驚いてそう聞くと、あおいさんがうなずいた。
「そうよー。でも、お兄さんのシビアな目で見て、少なくともうちの経営陣は合格だったんでしょう。……もちろん、すぐにじゃないわよ。四年は技術交流と共同開発で基盤をつくるわ。……うちからもチームを作って出向してもらう。……さっちゃんにもね。」
「……え……。」
私?
私も、出向するの?
本当に?
「それって……京都ですか?……来年4月から?」
社長とあおいさんは、黙ってうなずいた。
足元から、ゆらりゆらりと、波が起こる。
……私の意志を無視して……私が流されていく。
おほいなるものゝちからにひかれゆくわかあしあとのおほつかなしや
そんな短歌を思い出した。
その年の夏、薫くん達は無事に県予選を勝ち進み、インターハイで全国ベスト8まで進むことができた。
佐々木コーチは指導者としても評価され、次のステップアップに役だったようだ。
藤巻くんのチームもまたインターハイに出場することができたが、結局薫くん達と対戦することはないまま、2回戦で敗退した。
……薫くんはスッパリ引退して受験勉強に突入したけれど、藤巻くんは秋口にはお寺の系列大学に進学が決まり、冬の選手権でも活躍した。
大学でもサッカーを続けるようだ。
私たちは11月に結納を取り交わした。
もともと仲良しの家族ぐるみのお付き合いだったけれど、これからは親戚になっていくわけで……。
「婚約者……かあ。」
いただいた指輪の輝きと重さが、けっこうなプレッシャーだわ。
薫くんの背負う会社の重圧を一緒に支えてくって、こういうことなのかな。
「ゆーても、薫の受験が終わるまでデートもままならんでかわいそうやけどなあ。……受験が終わったらすぐ結婚して引っ越し、転勤やし……今度は忙し過ぎて大変やろし。今のうちにできること前倒しでやろうな。」
あおいさんはそう言って、仕事をがっつり教えてくれただけでなく、休日には一緒に京都に不動産を見に行ったり、台所用品や食器を選んで購入してくれた。
我が家は我が家で、家財道具や電化製品を揃え、洋服や着物で箪笥を満たした。
「そうよー。でも、お兄さんのシビアな目で見て、少なくともうちの経営陣は合格だったんでしょう。……もちろん、すぐにじゃないわよ。四年は技術交流と共同開発で基盤をつくるわ。……うちからもチームを作って出向してもらう。……さっちゃんにもね。」
「……え……。」
私?
私も、出向するの?
本当に?
「それって……京都ですか?……来年4月から?」
社長とあおいさんは、黙ってうなずいた。
足元から、ゆらりゆらりと、波が起こる。
……私の意志を無視して……私が流されていく。
おほいなるものゝちからにひかれゆくわかあしあとのおほつかなしや
そんな短歌を思い出した。
その年の夏、薫くん達は無事に県予選を勝ち進み、インターハイで全国ベスト8まで進むことができた。
佐々木コーチは指導者としても評価され、次のステップアップに役だったようだ。
藤巻くんのチームもまたインターハイに出場することができたが、結局薫くん達と対戦することはないまま、2回戦で敗退した。
……薫くんはスッパリ引退して受験勉強に突入したけれど、藤巻くんは秋口にはお寺の系列大学に進学が決まり、冬の選手権でも活躍した。
大学でもサッカーを続けるようだ。
私たちは11月に結納を取り交わした。
もともと仲良しの家族ぐるみのお付き合いだったけれど、これからは親戚になっていくわけで……。
「婚約者……かあ。」
いただいた指輪の輝きと重さが、けっこうなプレッシャーだわ。
薫くんの背負う会社の重圧を一緒に支えてくって、こういうことなのかな。
「ゆーても、薫の受験が終わるまでデートもままならんでかわいそうやけどなあ。……受験が終わったらすぐ結婚して引っ越し、転勤やし……今度は忙し過ぎて大変やろし。今のうちにできること前倒しでやろうな。」
あおいさんはそう言って、仕事をがっつり教えてくれただけでなく、休日には一緒に京都に不動産を見に行ったり、台所用品や食器を選んで購入してくれた。
我が家は我が家で、家財道具や電化製品を揃え、洋服や着物で箪笥を満たした。



