小夜啼鳥が愛を詠う

今さら……なのかな。

「そうなると覚悟してたよ。」

パパがぼやくと、ママもうなずいた。

「あおいちゃんと頼之くんもそうだったものね。……淋しくなるわね。」

「……まだまだ先の話よ?それに、会社もあるし、いくら薫くんがそう言ってても……。」
2人が至極当然と受け入れてることが淋しくて、私はついそんな言い方をした。

「この期に及んで何の積算もなく薫くんがそこまで言わないだろ。」

パパの言う通りかもしれない。

「京都に転勤とか?……支店ないしなあ。……あ……。まさか……出向?」

自分で言ってて、それしかないような気がしてきた。

既に社長と竹原さんの間で話がついてて、私……竹原さんの息のかかった会社に出向するのかもしれない……。

でも、営業とか事務ならともかく、秘書が出向とか、有り?

今後の業務に有効とは思えないんだけど……。

「お仕事のことは頼之くんに任せましょう。悪いようにはしないでしょ。……私たちは言われた通りお嫁入りの準備をしましょうか。住むところだけ決めてほしいけど。」

ママはそう言って、笑顔になった。

「まあ……これで、よかったんじゃない?……京都にいれば、折を見て、要人さんの奥さんとも逢えるだろ。」

やはり癌で両親を看取ったパパは、元気なうちに会わせたいという気持ちが強いようだ。

「……結婚するんだ……。」

まるで他人ごとのように私はつぶやいた。

なぜかあっさりと両親の許可を得てしまった。

「まずは、結納だな。」

パパが前向きにそう言った。




9時過ぎに、光くんが迎えに来てくれた。

「……えーと……何か、色々ありがとう。いっぱい心配してくれたね。ごめんね。」

照れくさいけど、まずはそうお礼を言った。

「僕のほうこそ、ごめん。……で……聞いた?イロイロ……。」

光くんが抽象的にそう聞いてきた。

「うん。たぶん全部聞けた。……光くん、いつから知ってたの?」

私も同じようにぼやかしたまま会話を続けた。

……お互いに自分自身を恥入る気恥ずかしさと、相手に対する甘えがそうさせたのかな。