小夜啼鳥が愛を詠う

「続きは明日。……明日もうちに泊まるやろ?」
と、念押しされたけど。

連日、薫くんの腕の中で眠れるのは、すごーく幸せだから、まあ、いいか。

「うん。明後日、薫くんの試合、応援してから帰る。」

「……もう、このまま、うちで暮らしたらいいのに。」

ボソッと薫くんが本音を漏らした。

「……うん。……薫くんの受験が終わったら、それでもいいね。」

「……だよな。」

ほらね。
誰も何も言わない。

でも、薫くんの両親も兄も、私までも、同じ大学を出てしまった。

薫くんの闘争心に火がつかないわけないよね。

「サッカーも、受験も、後悔してほしくないから。邪魔したくない。……サッカーは観客席で応援できるけど、受験勉強は……薫くんには家庭教師も必要ないもんね。」

ハッキリ言って、薫くんは私なんかよりずーっとずーっと頭がいい。
たぶん光くんと遜色ないと思う。

薫くんは苦笑してた。

「家庭教師はいらんかなあ。……ほな、桜子は監視役になって。」

「私がちゃんと監視役させてもらえてるか、さらに監視役がいるんじゃない?」

……絶対、薫くん、勉強に飽きたら、私に手を出してくると思う。

「……とにかくそばにいてほしいんやけど。」

結局、そういうことなのだろう。

素直にそう訴えた薫くんに、私はついついほだされる。

「……うん。勉強の邪魔にならないなら……。」

薫くんは、うれしそうにうなずいて、また私を強く抱きしめた。

窮屈だけど幸せに眠りについた。



朝5時に目覚まし時計がけたたましく鳴った。

薫くんはベッドから跳ね起きて、時計を止めた。

「朝練行ってくる。桜子はもうちょっと寝とき。……あとで、写真送ってな。ほな!」

「うー。いってらっしゃい。……おはよう。おやすみ……。」

開かないまぶたと、ろれつの回らないくちびるに、優しいキスを残して薫くんは出て行った。


2つめの目覚まし時計は、優しい鳥の鳴き声。

いつの間にか私用に買ってくださっていた目覚まし時計が6時に鳴った。

ナイチンゲールのさえずりで目を開ける。

空が青い。
いい天気でよかった。

長襦袢まできっちり身につけてから、薫くんのお部屋を出た。