小夜啼鳥が愛を詠う

反発しようとしたけど、野木さんは神妙にうなずいた。

「……わかりました。」

……なんだろう。

この2人って、今まで、そんなに接点なかったよね?

なのに、確かに何らかの意思疎通を感じた。

「大丈夫です。坂巻孝義さんや小門兄と同じテーブルにしますから。」

野木さんがそう言うと、光くんはちょっと眉をひそめた。

呼ばれると思ってなかったみたい。

「野木さん、悪趣味。僕はいないほうがいいと思うけど。」

光くんの抵抗を、野木さんは笑顔受け流してから、ハッキリ言った。

「小門弟の代わりに、さくら女のそばにいてあげて。」

「いや。私、子供じゃないし……。」

野木さんまで、私にはお守りが必要と思っているのかと愕然とした。

けど、
「……わかったよ。」
と、光くんが渋々引き受けた。

……えーと……。

私って、そんなにも、危ういのかな。

何だか不安になった。




「来月?いつ?」

その夜、私は事の顛末を薫くんに話した。

「んーと、薫くんの中間テストが終わってから?インターハイ予選は、いよいよ佳境に入る頃かな。」

そう話すと、薫くんは少しにやけた。

「えらい急やん。……妊娠したんか?」

「もう!すぐそういうやらしいこと言うんだから!……まあ、私もそうかな?って思ったけどさ。違うんだって。……てか、まだ、そゆこと、してないそうよ。」

でも、薫くんは半笑い。

「そんなわけないやん。相手、あの、春秋氏やろ?……やりまくりやろ。」

……それは君でしょう!と、心の中でつっこんだ。
やぶ蛇だから、言わないけどさ。

「……野木さん、最初の相手が……恋人ってわけじゃなかったから、けっこう冷めてるというか……トラウマに近いのかもね。」

光くんとの関係は、伏せた。

「じゃあ、結婚するまでお預け?……ほんで、春秋氏、急いだんやな。」
薫くんは腕を組んで、もっともらしくうなずいた。

……そういうことなんだろうな。

「たぶんね。あまりにも急だから、お忙しい坂巻さんはお寺の行事を調整しきれなかったみたい。披露宴に少し遅刻するんだって。……あ、坂巻さんと同じテーブルみたい。お友達テーブルなんだって。」

「へー。光、喜んでそう。」

薫くんの指摘に、光くんの様子を思い出す。