小夜啼鳥が愛を詠う

「俺らの娘が歌劇団入りたいゆーても、絶対認めんしな。桜子のお母さんには申し訳ないけど、反対するしな。」

……何の話をしてるんだか。
気が早いというか、何というか……。

「昔、パパも同じことを言ってたそうよ。私が歌劇に興味を持つと、睡眠学習のように、寝てる私に反対し続けたんだって。……バレエも習わせてもらえなかったし。」

……正直なところ、バレエは習いたかったけどね……姿勢が綺麗になるし。

「よかったー。マスターに感謝や。桜子のあられもない姿、俺以外の誰にも見せたくない。出産も女医さんに頼む。」

どこまで本気なのか、薫くんは独占欲を当たり前のように言葉にする。

……気恥ずかしいけど……幸せ。


「じゃあ、おやすみなさい。光くん。」

「おやすみ。薫、さっちゃんを早く帰さないと、マスターがやきもき待ってるよ。」
「わかっとるわ。」

お店の前で、光くんとバイバイ。

薫くんが私を送ってくれるほんの5分ほどの道のりとエレベーターの中だけが2人だけの時間。

……さすがに、ママのいない家で、パパの存在を気にしながら、イチャイチャすることはできない。

「週末。……一緒に……。」

貪るようなキスの合間に、薫くんが訴えた。

「……うん。」

薫くんは、土曜日も日曜日も、当然のように部活がある。
須磨の別荘までは行けない。
うちは、当分ママが留守。

結局、週末は小門家に泊まることが増えてしまった。

……まあ、いずれは当たり前になるんだろうけど……うちのパパやママとより、あおいさんと社長といる時間のほうが既にはるかに長い……。

「金曜も、土曜も。」
「……うん。」

それ以上言葉にできないけれど……楽しみ。

一晩中、薫くんの腕に抱かれて眠れる週末が待ってると思うと、慣れない仕事もがんばれそう。

「……よし。がんばる。」

薫くんも同じ気持ちみたい。

ぎゅっと抱きしめられてから、そっと解放された。

「ほな。おやすみ。また、明日。」
「おやすみなさい。ありがとう。」

視線が甘く絡む。

たまらない……と、目を細めて、薫くんが再び私に手を伸ばす。

するりと髪を撫でられ、目を閉じた。

大好き……。