かつて光くんママから貰い乳をいただいたこともある身なのに、急に親しいお友達にステップアップするような気がした。
「うん。そうして。……ほら、さっちゃんさ、……藤巻くんの継母になったあのヒトのこと、『玲子さん』って呼んどったやん?仲良さそうで羨ましかってんわ。……できたら、薫と結婚して、うちの嫁になっても、そう呼んでほしい。」
嫁……結婚……うわぁ。
私がこうして就職して、薫くんが18歳になる日が近づいてくると……どんどん現実的になってくるというか……。
「わかりました。ありがとうございます。あおいさん。……なんか……うれしいです。」
照れながらそうお呼びすると、光くんママ改めあおいさんも、頬を染めた。
「はい。どうぞ。ここが、さっちゃんの仕事場。」
あおいさんがそう言いながら、木のドアをノックした。
「どうぞ。」
中から聞こえてきたのは、頼之さん、いや、社長の低いイイ声。
「……社長室ですか?」
「うん。社長秘書やもん。入って。」
あおいさんは勢いよくバーンとドアを開けた。
「来たな。これから、よろしく。さっちゃん。」
社長が笑顔でそう迎えてくれた。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。社長。」
深々とお辞儀してそうご挨拶したら、
「……社長……。」
と、嫌そうなつぶやきが聞こえてきた。
え?
だって社長は社長でしょ?
頼之さんだって、かつて、お父さんの成之さんのことを「社長」って呼んでたもん。
「いいやん。社長で。それとも、『おとうさん』って呼んでほしいの?……さっちゃん。頼之さんねえ、さっちゃんが娘になるの楽しみにしとるんよ。家が華やぐ、って。週末、もっと頻繁に泊りに来てくれていいんよ?」
「……ありがとうございます。」
本当に、歓迎されてて……幸せだなぁ。
「いや。こちらこそ、ありがとう。うちに入社してくれて。入社試験も研修期間の採点も、さっちゃんがトップや。心強いわ。」
頼之社長はそう言って、持っていた書類に目を落として、私に差し出した。
「……失礼します。」
そう断って、書類を受け取る。
「それ。会長が持ってきた。純喫茶マチネの譲渡契約書。……マスター、本気で光にあの店くれるらしいわ。……さっちゃん、聞いてた?」
「うん。そうして。……ほら、さっちゃんさ、……藤巻くんの継母になったあのヒトのこと、『玲子さん』って呼んどったやん?仲良さそうで羨ましかってんわ。……できたら、薫と結婚して、うちの嫁になっても、そう呼んでほしい。」
嫁……結婚……うわぁ。
私がこうして就職して、薫くんが18歳になる日が近づいてくると……どんどん現実的になってくるというか……。
「わかりました。ありがとうございます。あおいさん。……なんか……うれしいです。」
照れながらそうお呼びすると、光くんママ改めあおいさんも、頬を染めた。
「はい。どうぞ。ここが、さっちゃんの仕事場。」
あおいさんがそう言いながら、木のドアをノックした。
「どうぞ。」
中から聞こえてきたのは、頼之さん、いや、社長の低いイイ声。
「……社長室ですか?」
「うん。社長秘書やもん。入って。」
あおいさんは勢いよくバーンとドアを開けた。
「来たな。これから、よろしく。さっちゃん。」
社長が笑顔でそう迎えてくれた。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。社長。」
深々とお辞儀してそうご挨拶したら、
「……社長……。」
と、嫌そうなつぶやきが聞こえてきた。
え?
だって社長は社長でしょ?
頼之さんだって、かつて、お父さんの成之さんのことを「社長」って呼んでたもん。
「いいやん。社長で。それとも、『おとうさん』って呼んでほしいの?……さっちゃん。頼之さんねえ、さっちゃんが娘になるの楽しみにしとるんよ。家が華やぐ、って。週末、もっと頻繁に泊りに来てくれていいんよ?」
「……ありがとうございます。」
本当に、歓迎されてて……幸せだなぁ。
「いや。こちらこそ、ありがとう。うちに入社してくれて。入社試験も研修期間の採点も、さっちゃんがトップや。心強いわ。」
頼之社長はそう言って、持っていた書類に目を落として、私に差し出した。
「……失礼します。」
そう断って、書類を受け取る。
「それ。会長が持ってきた。純喫茶マチネの譲渡契約書。……マスター、本気で光にあの店くれるらしいわ。……さっちゃん、聞いてた?」