「でも部外者が出入りしたら怒られない?」
一応そう言ってみたけれど、薫くんはマジだ。
「部外者ちゃうで。家族同然。婚約者。……マネージャーはおるけどな、桜子にはコーチのアシスタントしてほしい。んー、コーチの秘書?」
「コーチって……菊地先輩の?」
この春、大学を卒業した菊地先輩は、予定通り、お家の造り酒屋で働いている。
繁忙期と椿さんの公演期間以外は、普通の勤め人より暇らしく、後輩の指導とサポートに当たってらっしゃるのだけど……コーチという役職ではないような……。
首を傾げてると、薫くんがちょっと不敵な笑いを見せた。
ドキッとした。
「……俺らの学年って、正直なところ、俺以外は小粒やろ?このままでは俺のワンマンチームで終わってしまいそうやん?……それじゃ先はないと思ってな、未来さんに相談しとったんや。」
「え?未来くん?……大学のサッカーリーグで忙しいんじゃないの?しかも東京よね?……夏休みとか冬休みに、来てくれるって?」
「いや。未来さんは身動きとれん。……でも、もっと暇人な適任者がいはるやん?」
薫くんが誰のことを言っているのか、私はよくわからなかった。
暇人と言えば、光くん?
でも、光くんがコーチとか……柄じゃなさすぎる。
首を傾げてると、薫くんは私の頭を撫でた。
「かわいい。どんな問題もすぐ解いてしまう桜子が困ってる。……阿呆な女は嫌いやけど、桜子なら、かわいい。」
……いや……私はそこまで頭よくないから、普通に考えて悩んでたけどね。
でも、ダメなところも愛でてもらえるのは、素直にうれしい……。
「……佐々木和也さんに頼んだ。」
薫くんは、しれっと言った。
「え……。」
それは……すごいことじゃない?
「引き受けてくださったの?」
「うん。あかんか思ったけど、今日の決勝戦観てくれてはったらしい。俺、めちゃ怒られるみたい。……何で負けたか考えろ、って、お父さんに伝言して行かはったって。それで、ずっと考えとるねんけど……考えれば考えるほど、俺が悪い気がしてくる。勝敗よりチームの空気を優先したよな、って。」
「……なるほど。それで、いつまでもずっと不機嫌なんだ。」
そうは言ってみたけど、不思議な気がした。
一応そう言ってみたけれど、薫くんはマジだ。
「部外者ちゃうで。家族同然。婚約者。……マネージャーはおるけどな、桜子にはコーチのアシスタントしてほしい。んー、コーチの秘書?」
「コーチって……菊地先輩の?」
この春、大学を卒業した菊地先輩は、予定通り、お家の造り酒屋で働いている。
繁忙期と椿さんの公演期間以外は、普通の勤め人より暇らしく、後輩の指導とサポートに当たってらっしゃるのだけど……コーチという役職ではないような……。
首を傾げてると、薫くんがちょっと不敵な笑いを見せた。
ドキッとした。
「……俺らの学年って、正直なところ、俺以外は小粒やろ?このままでは俺のワンマンチームで終わってしまいそうやん?……それじゃ先はないと思ってな、未来さんに相談しとったんや。」
「え?未来くん?……大学のサッカーリーグで忙しいんじゃないの?しかも東京よね?……夏休みとか冬休みに、来てくれるって?」
「いや。未来さんは身動きとれん。……でも、もっと暇人な適任者がいはるやん?」
薫くんが誰のことを言っているのか、私はよくわからなかった。
暇人と言えば、光くん?
でも、光くんがコーチとか……柄じゃなさすぎる。
首を傾げてると、薫くんは私の頭を撫でた。
「かわいい。どんな問題もすぐ解いてしまう桜子が困ってる。……阿呆な女は嫌いやけど、桜子なら、かわいい。」
……いや……私はそこまで頭よくないから、普通に考えて悩んでたけどね。
でも、ダメなところも愛でてもらえるのは、素直にうれしい……。
「……佐々木和也さんに頼んだ。」
薫くんは、しれっと言った。
「え……。」
それは……すごいことじゃない?
「引き受けてくださったの?」
「うん。あかんか思ったけど、今日の決勝戦観てくれてはったらしい。俺、めちゃ怒られるみたい。……何で負けたか考えろ、って、お父さんに伝言して行かはったって。それで、ずっと考えとるねんけど……考えれば考えるほど、俺が悪い気がしてくる。勝敗よりチームの空気を優先したよな、って。」
「……なるほど。それで、いつまでもずっと不機嫌なんだ。」
そうは言ってみたけど、不思議な気がした。



