小夜啼鳥が愛を詠う

盛り上がる観客席。

私も、むせび泣いて手を叩いた。

よかった!
本当によかった!


ゲームは延長戦に突入した。

総力戦で戦ったけれど、結果は引き分けのまま。

そして……PK戦で負けてしまった。

……終わった……。

相手チームのシュートを止められなかった3年生のゴールキーパーは雨でドロドロのフィールドに這いつくばって泣いた。

キャプテンが、そして足を痛めたミッドフィルダーが、キーパーを引っ張り起こして、団子のように固まり、抱き合って泣いていた。

他の3年生が彼らを挨拶に並ぶように促す。

涙を堪えて相手チームと握手して、挨拶を交わし、応援席の前に整列。

……もう、雨なんだか、涙なんだか……みんな、ぐちゃぐちゃ。


そんな中、薫くんは天を見上げていた。

容赦なく顔に雨が降り注ぐ……涙を隠してるのだろうか……。

でも、目も赤くなってないように見える。

「薫、泣いてないね。」
光くんも気づいたようだ。

「……うん。たぶん……我慢してる……怒るのを。」
誰にも聞こえないように小声で言った。

雨音で聞こえてないはずなんだけど、光くんは小さくうなずいた。


その夜、薫くんは見るからに超不機嫌だったけど
「……風邪引いとらん?」
と、逢う早々、私を気遣うことは忘れてなかった。

……優しい。

つい、私のほうが泣いてしまった。

薫くんは、黙って私を抱き寄せて、背中をさすってくれた。

しばらく泣いて落ち着いてから、聞いてみた。

「薫くん、怒ってる?」
「……。」

薫くんは返事しなかった。

ただ、ぎゅっと私を抱く腕に力を込めた。

「……怒らなくていいよ。薫くんは、充分頑張ったよ。ちゃんとシュートを決めて追いついたし……PKだって決めたし。自分を責めなくていいよ。」

そう言ったら、薫くんは私の顔を覗き込んだ。

薫くんの瞳が揺れている。

不思議そうに……切なそうに……愛しげに……。

……大好き。

「なんで?……俺、聖人君子ちゃうで?ミスった奴らに怒ってるとは思わんの?」

そう尋ねられて、私は笑ってしまった。

そんな言わずもがななこと……。