小夜啼鳥が愛を詠う

しかも、週末はインターハイ予選の準々決勝だったので、多数の生徒が応援に来た。

もちろんいつも通り私も応援に行くんだけど、さすがに今までとは違うこの状況。

事態がさらにややこしいことになっていく~……。


「さっちゃん、大丈夫?やりにくそう……。」

いつも以上に、陰からひっそり観戦していても、確かにかなり……やばい気がする。

「うん。薫くん、ほんっとにもてるのね……。」

苦笑すると、光くんは肩をすくめた。

「まあ、我が弟ながらイイ男になったと思うよ。どんなに女子に冷たくても、さっちゃんのお陰で、薫からは隠しきれない『守ってやる』オーラ出てるしなあ。」
「守ってやる……。」

確かに、私は守られてるけど……そういうのって、身体から滲み出るものなの?

首を傾げてると、光くんはくすりと笑った。

「わかりやすくさっちゃんに矢印向けてる薫と、いかにも庇護欲をかき立てられるはかなげで綺麗なさっちゃんだもん。バレバレ。……でも、この空気、まずいねえ……。応援席でも、女子があからさまにさっちゃんの悪口言ってるからさ~、あーちゃんが心配してる。」

……悪口……。

ううう。

そっかあ……。
まあ、そうなるか。

困っていると、光くんがすっくと立ち上がった。

そして、私に手を差し伸べる。

え……。

戸惑って見上げると、光くんがほほ笑んだ。

「僕らの高3の時の担任、教頭先生になったんだって?……今日は応援に来るらしいんだ。挨拶するから、一緒に行こう。」

あ……何か、たくらんでる顔だ……。

多少のためらいは感じたけれど、私は光くんの思惑に乗った。

光くんは完璧なエスコートで私を、ギリギリ日は当たらないけれど団体席からもピッチからもよく見える位置に連れ出した。

しかも、わざわざぴったりくっついて座る光くん。

……案の定というか何と言うか……ピッチの薫くんが気づいて、土を蹴った。

「大丈夫だよ。そんな顔しないで。薫には通じてるよ。……うん?けっこう日射し、来るね。さっちゃん、日傘貸して。」

「え……。もうちょっと後ろに下がれば……」

日が当たらないところに移動すればいいだけなのに、光くんは笑顔で言った。

「だぁめ。ココで相合い傘。目立つよ~。」