小夜啼鳥が愛を詠う

薫くんが18歳になるまでは、避妊は徹底すること。
外聞が悪いので、外ではいちゃつかない。
ホテルなども利用しない。
エッチしていい場所は、お互いの家と須磨の別荘だけ。

……それって、監視の意味もあるのかしら。

「不自由だろうけど、あと2年は自重しなさいね。ちゃんと協力するから。」
ママは半笑いでそう締めくくった。

……恥ずかしいなあ、もう……。

「ごめんね、さっちゃん。……もちろん、できちゃったらできちゃったで全然かまわんねんけど……薫はどうとでもなるとしても、さっちゃんはあと1年半で卒業できるなら、そのほうがいいやろし。薫にはもちろんちゃんと言い聞かせるけど……暴走しそうなら、遠慮なく叱って。」

光くんママはそう言って、帰って行かれた。



母親2人に、応援されながらもしっかりと釘を刺された私たちは、お行儀よく逢瀬を重ねた。

平日は、部活帰りの薫くんと、パパのお店の閉店時間までを一緒に過ごし、語らった。

土日の時間がある時には、お互いの家を行き来することもあった。


「泊まってってもいいのよ?」
土曜日の夜には、そんな風に言ってもらえることもあったけれど、シングルベッドで2人で眠るのは、私はともかく、身長が180cmに届きそうな薫くんには窮屈だろう。

お泊まりは、須磨の別荘でだけ……薫くんの部活がなくなる定期テスト直前の土日と、お正月休みや春休みの1泊2日を指折り数えた。


薫くんたちサッカー部は、冬の選手権には出場できなかった。

推薦入試で大学合格を決めた未来くんも、秋の終わりから合流したが、県大会の決勝で惜敗した。

新人戦は準々決勝まで。

リーグ戦もこなしつつ、なかなか波に乗れないままにゴールデンウイークに突入。

今年も、インターハイの予選が始まった。

私は団体席から離れた、風雨を凌げる場所で応援した。



5月の最終週の月曜日、いよいよ私の教育実習が始まった。

担当は高校2年の社会科。

……ほとんどの生徒が日本史か世界史を選択するだろうなか、私が教えるのは政治経済。

薫くんは、私が教育実習に来る二週間をそばで見守りたいためだけに、今年の社会科の選択を政治経済にしてくれていた。

狙い通り、私は薫くんのクラスに配置された。

けど、予想以上に政治経済を選択してる生徒が多かった。

それも女子ばかり。