小夜啼鳥が愛を詠う

私自身は、光くんと彩瀬さんの境界がよくわからないまんまだったので、ぼんやりそんな風にしか思えなかった。

薫くんは首を傾げた。
「わからん。今となっては、彩瀬おじさんが取り憑いてたんかどうかも、よくわからん。人見知りがマシになって、ケダモノモードが落ち着いて、海に入らんくなったってだけで……マザコンは相変わらずやしなあ。」

「……確かに……単に中2病が治って落ち着いただけって気もする……。」
そう言ったら、笑えてきた。

「まあでも、どっちでもいいやん。桜子も、俺も……家族みんな、彩瀬おじさんがいようといまいと関係なく、光のことが大好きやねんから。な?」

薫くんは、罠を仕掛けたわけじゃない。
でも、私は同意にためらいを覚えた。


「……あの……お願いがあるの。」
思い切って言ってみた。

「なに?」
薫くんが私の顔を覗き込む。

「……2人のことを、他のヒトにあまり言わないでほしい。……エッチの話。」

特に光くんには……とは、言えなかった。

「今回のことも、家族にわざわざ宣言しないでほしかった。もちろん、薫くんの誠意だってわかってる。けど、やっぱり……恥ずかしすぎて……。ほら、秘め事、って言うでしょ?もう、誰にも言わないで?」

そうお願いすると、薫くんの瞳に動揺が揺れた。

「……ごめん。やっぱり、俺、デリカシーなかったんや。……ごめん。光はともかく、藤やんにも先、越されて焦ってたかも。」
「え?藤巻くん?……え?……誰と?」

思わず、聞いてしまった。

「誰って、今のカノジョ。藤やん、中学の時から、切れ目なくカノジョおるで。」
「……あ……そうなんや。……てっきり、みゆちゃんのこと、好きだと思ってた……。」

薫くんが顔をしかめた。

「あー、それな。好きやろな。でも、藤やん、合理的やし、基本的にもてるから、来るモノ拒まず、去るモノ追わず。……玲子と、坂巻さんが、追い払うのに暗躍してるらしいわ。」

へ?
どういう意味?

「藤巻くん、遊んでるの?」

キャラじゃない!

想像つかなくて、びっくりした。

「まさか!遊ぶ暇なんかあるわけない。……せやから、勝手に女が寄ってきて、勝手にあきらめて離れていきよるねん。一期一会やて藤やん、ゆーてたで。」

「……一期一会って……。」

なに?それ。