小夜啼鳥が愛を詠う

私は何も返事しなかった。

……涙がぶわっとこみ上げてきて……何も言えなかった。

泣いてることに気づかれたくない。
流れる涙をそのままに、私はじっとしていた。



しばらくして、2人は諦めてくれたみたい。

「さっちゃん、下にいるから。落ち着いたら、降りてきて。……ごめんね。」
「……桜子。ごめん。あとで、花火しような。」

パタンとドアが閉まり、気落ちした元気のないスリッパの音が遠のいていった。

私は、やっとむせび泣いた。



薫くんが好き。
光くんのことも大事。

でも、2人が兄弟だということが、つらい。

やっと気づいた。
私たち、不自然すぎる。

……そもそも、どうして、こんな日に……光くんが来ることになったんだろう……。

どうして、誰も止めないんだろう……。

光くんが……近すぎて……いびつすぎて……

あ……そうか。
薫くんが、やたら自分のモノにしたいという意識が強いのも、光くんの存在があるから……なのかな。

もちろん光くんを信頼してないわけじゃないと思う。
今さら、私と光くんがどうなるとも思ってないだろう。

でも、存在自体がけっこうなプレッシャーなのかもしれない。

意識するなというほうが無理だ。

光くんは……私たちにとって、大切すぎる。

これから、どうやって、つきあっていけばいいんだろう……。

泣いて、怒って、途方に暮れて……私はいつの間にか、また眠ってしまっていたようだ。



次に目が覚めたのは、もう真夜中。

シーリングライトは消えていたけれど、窓際のフロアライトだけがぼんやりと灯してあった。

……てか、窓際のソファ!

光くんと薫くんが、ものすごく窮屈そうに眠っていた。

どういう経緯で、2人がこの部屋にまた来たのかはわからない。
でも、2人が心から私を心配して、側にいてくれたことだけは伝わってきた。

……また涙がこみ上げてきた。

私、けっこうきついこと言ったよね?
傷つけちゃったかな。

枕元のティッシュを1枚抜き取る……そんな小さな音で、2人とも目を覚ましてしまった。

「桜子!」

薫くんが飛び上がって駆け寄ってきた。