小夜啼鳥が愛を詠う

「さっちゃん、笑ってる……。しんどくは、なさそうだね。幸せそうだ。」

あ……光くんの声……。

「だからゆーとるやん。別にそんな無茶してへんわ。」
拗ねたような声の薫くん。

もしかして、私がダウンしてるから、薫くん、光くんに怒られちゃったのかしら。

大変大変。
起きなきゃ。

私は瞼を開けようとするんだけど……開かない。

「眉間にしわ寄って、苦しんどるように見える……。桜子?大丈夫か?しんどい?」
薫くんが呼んでる。

私は目も口も、気合いで開けた。

「……うん。大丈夫……起き……られない…」

気合いで起き上がることまではできなかった。

「あーあー。気分悪かったりはしない?熱はけっこうあるみたい。」

光くんがそう言ってお水とお薬を準備してくれた。

「はい。解熱剤。これ飲んで、今夜はこのまま寝てたほうがいいよ。独りで。」

薫くんがむーっとしてる。

「ありがと。飲む。……でも、熱が下がったら、浜辺に行きたい。花火したい。車で連れてってくれる?」

そうお願いしたら、光くんがちょっとほほえんだ。

「いいね。僕も久しぶりに行きたい。……さっちゃん、車より、おんぶして連れてったげよっか。」
「俺がする。」

薫くんが慌てて割って入ったけど、光くんはジロリと睨んだ。

「薫は、ダメ。当分、さっちゃんに接近禁止。……まったく……初めてなのに加減したげなよ。抱きつぶしちゃうなんて、ケダモノ。」

……抱きつぶす?
光くんてば……何てことを……

薫くんは光くんから、私の口をつけたグラスを奪い取った。

「俺かて初めてやのに、加減とか……。てか、光の言うてた通り、ちゃんと傷つけんように舌で」
「やーっ!!!やめてー!!そんな話いやっ!2人とも、最低!大嫌い!出て行って!」

思わず、薫くんの言葉を遮って、私はお布団を頭までかぶった。

最低!
最低!
最低っ!

そりゃ、2人は仲のイイ兄弟だけど……確かに、経験豊富そうな光くんが初心者の薫くんにアドバイスした……それだけなんだろうけど……でも、そんな話、私に聞かせないで!

デリカシーなさすぎるっ!

「……桜子……」
薫くんがオロオロしてるのが、声からもわかった。

光くんも、さすがにまずかったと気づいてくれたのだろう。
「さっちゃん。ごめん。……もう、しない。ごめん。」