小夜啼鳥が愛を詠う

私がさらりとそう言うと、薫くんは少し笑った。

『アホやな。それ、賭けじゃなくて、ご褒美やん。……まあ、元々桜子には拒否権ないけどな。』

……何となく、調子に乗ってきたというか……いつもの薫くんに戻ってきた気がする。

「アホでいいよ。薫くんの望みは全部叶えてあげたい。私にできることなら、何でもしたげる。」

その場しのぎのご機嫌取りじゃない。
掛け値なしの本心だ。

『……じゃあ、俺のモンになって。』

薫くんの言葉は、今さらな気がした。

「うん。」

即答した。

『……ええん?』

詳細を聞く必要もない。

「うん。そのために、生きてる。」

そう言ったら、薫くんはちょっと笑った。

『そっか。わかった。ほな、約束。俺が、シュート決めて勝利に貢献できたら、うちで三世帯同居な。』

え?
同居?

……え?

てっきり、薫くんが18歳になったら結婚する……とか、婚約する……とかだと思ったんだけど。

「下宿するの?小門家に?すぐに?」

そう聞いたら、薫くんはしれっと言った。

『俺の部屋に、身一つで来い。……ほんまや、これって、下宿か。』

さすがにそれは……。

「それなら、うちのどこかのマンションで……同棲とか……」

部屋ならいっぱいある。
売るほどある……と、よくパパが言ってる。

実際、賃貸も分譲も、いつもどこかで新築とか改築してるし、いくらでも候補はあるはずだ。

『俺が桜子ん家(ち)の婿養子になるならそれもいいけどな。桜子がうちに嫁に来るんやろ?せやし、却下。』
薫くんは偉そうにそう言った。

ちょっとは機嫌がよくなってるらしい。

『ほな、そういうことで。本気やからな。応援してや!』

明るい声でそう言って、電話を切った。

……元気になってくれたみたい。
よかった……。

……ん?
本当によかったのかしら。

そう言えば、聞いたことがある。
光くんママは、実の親御さんと折り合いが悪くて、出産までの何ヶ月かを小門家で暮らしたって。

もちろん、頼之さんと結婚する前……それどころか、つきあってすらなかった頃らしい。

よく反対されなかったなあ。

……うちは、家族仲イイから……パパの猛反対は必至だよね。

うーん……。