小夜啼鳥が愛を詠う

思わず観客をぐるりと見渡した。

かわいくはしゃぐ女の子たち……ううう……みんな若いわ……当たり前だけど。

「もう!そんな不安そうな顔しない!ほら、アピールするわよ!一緒に来て。」

アピール?

みゆちゃんは、私の手を引っ張って、何と人だかりの中心に連れてった。

うわっ!
佐々木和也が、光くんママにバンバン背中、叩かれてる……。
先輩のはずの頼之さんならともかく……さすがというか……。

「あ。さっちゃん!おいでおいで。ココ。特等席。……佐々木、ちょっと、そっち詰めて。」
光くんママはそう言って、有名人をどかせて私とみゆちゃんをど真ん中に座らせてくれた。

佐々木和也夫妻に会釈して座る……と、みゆちゃんが私の腕に手を絡めて、わざわざ声高に紹介してくれた。
「パパ。ママ。こちらが、桜子お姉さま。綺麗でしょ?みゆのライバルで、憧れの女性なの。薫の恋人!」

……やめて……みゆちゃん……それは、さすがに……。

半笑いで光くんママが私の肩を抱いた。
「佐々木、紹介しとく。古城(こじょう)桜子ちゃん。そのうち、うちの嫁になる予定。」

光くんママまで、悪のりしてる……。

「……マジで?光くんじゃなくて、薫くんなん?」
佐々木和也が首を傾げる。

……まあ、普通はそう思うよね。

苦笑してると、みゆちゃんがムキになった。

「薫だってば!すごくお似合いなんだから!……未来お兄さまもお姉さまに憧れてたのよ。」

「みゆちゃん……それは……。」
私はギョッとして、みゆちゃんの腕を引いた。

光くんのパパやママだけじゃなく、おじいちゃんとおばあちゃんもいるのに、やめて~。

でも、光くんママは私の背中をさすりながら言った。
「そうなん?さすが、さっちゃん。もてるわ~。」

「……。」

穴があったら入りたい。

助けて……。
誰か、この茶番劇の幕を下ろして~~~。

ママの向こう隣に座った光くんは、ただニヤニヤ見ていた。

いつもなら助け船を出してくれるのに……イケズだ。

フィールドにメンバーが出て来るまで、私はいたたまれなかった。


ゲームは、圧勝だった。

ワンサイドゲームという表現がピッタリだ。

……なるほど、インターハイ出場を本気で狙って頑張ってきたチームは、顔つきからして違うみたい。

薫くんも1年生ながら、活躍していた……と思う。

贔屓目かな。