小夜啼鳥が愛を詠う

「……ごめんなさい。」
みゆちゃんは深々と頭を下げてそう謝った。

か、かわいいっ!
やっぱり、かわいいよ、みゆちゃん。

「……こちらこそ、急かしてしまって、ごめんなさい。……わ、かわいい……泣いてるの?大丈夫?」
私と光くんの背後から、静稀さんがハンカチを差し出した。

「ありがとうございます。」

みゆちゃんは、私達をすり抜けて、静稀さんからハンカチを受け取った。

静稀さんは、ニコッとほほえんでから、
「お手洗い、よろしいですか?」
と、光くんに尋ねた。

「あ。どうぞどうぞ。」

私と光くんは、慌てて静稀さんの横をすり抜け、みゆちゃんと一緒にカウンターに戻った。


「迷惑なやつ。」
薫くんはそう吐き捨ててから、みゆちゃんに面と向かって言った。

「みゆは、何もかもが自分の思い通りになると思っとるところが、うざい。最初からずっと俺は桜子しか興味ない。みゆは、佐々木和也さんの娘で、未来さんの妹やから邪険にせんだけや。好きでも嫌いでもない。でも今みたいに、俺のために来たとか言われたら、反吐が出る。勝手なことゆーとらんと、自分の行動には自分で責任取れや。」

……うーん。
たぶん薫くんは正しい。

でも、言われたみゆちゃんは……ショックだろうなぁ、これ。

みゆちゃんはハンカチを握りしめたまま立ち尽くしていた。

「……薫くん。もうちょっとオブラートに包んで……」
思わずそう言ったけど
「あほか。こいつにはそれが通用せんからこうなっとーねん。……未来さん経由で、伝えてもろとるはずやけどなあ?俺がみゆに興味ないことも、ずっと他に好きな女がいるってことも。」

あ……そこまで言ってくれてたんだ……。

みゆちゃんには申し訳ないけど、私はかなりホッとした。

……いや、薫くんの一途な想いを疑うわけじゃないけどさ……みゆちゃん、かわいいから……やっぱり心配というか……もにょもにょ。

「だって、みゆのほうがかわいいもん。みゆが一番かわいいもん。みんな、みゆのこと、好きになるもん。」
みゆちゃんは、かわいい声でそう言ってのけた。

すごい……。

呆れるのを通り越して、感心しちゃいそう。

でも薫くんのお気には召さなかったらしい。

ヒクヒクと唇が歪み、目が三角になってく。

こわいー!