小夜啼鳥が愛を詠う

光くんはそんな薫くんに向かって言った。
「予定調和を曲げたんだ。さっちゃんを泣かせたら、許さないからね。」

薫くんは、ムッとしたらしい。
「当たり前や。光に言われとーない。さんざん桜子を振り回しといて。偉そうに。」

わざわざ私を抱き寄せて、薫くんは光くんにそう言った。

うわぁ。
薫くんの腕の中……どんな顔をしてたらいいのか……顔から火が出そう。

光くんは苦笑して肩をすくめた。

「……だってさ。さっちゃん。感想は?」

感想……って言われても……。

そーっと顔を上げて、薫くんを見つめた。

柔らかく視線が絡み合う。
それだけで、震えた。

「……死んでもいい。」

口から出てきたのは、そんな言葉。

光くんはぷっと吹き出して笑い、薫くんは
「あほか。」
と、一蹴して、頬を染めた。

……照れてる。

ふふ。
幸せだなあ。

私は、薫くんの肩に頬ずりした。

「大好き。」

想いが言葉になって、口をついて出てきた。

薫くんは、くしゃっと笑顔になってうなずいた。

気持ちが伝わるだけで、こんなに満たされるとは思わなかった。

「ほら。薫も、ちゃんと気持ち、伝えなきゃ。恥ずかしがってないで。」
光くんが、薫くんを肘で突っつく。

「わかっとーわ。……てか、光、邪魔。」

薫くんは、私だけじゃなく、光くんがべったりとくっついていることに困惑しているようだ。

でも、光くんはニッコリと美しくほほ笑むと、当たり前のように宣言した。

「うん。お邪魔虫。ケダモノ対策。……薫がちゃんと責任の取れるオトナになるまでは、迂闊に2人きりにはさせないから。」

「はあっ!?」
薫くんは、顔を真っ赤にして、光くんを睨み付けた。

でも光くんは、悪びれることもなく、ニコニコしていた。

そんな光くんを見て、私も笑顔になった。

薫くんは、光くんと私を順に見て、苦笑い。


たぶん、傍目には、今まで通り。
光くんと私は、常に一緒にいるんだろう。

でも……

「役割交替やな。桜子は光のモンで、俺は騎士(ナイト)のつもりやった。でも、チェンジな。桜子は俺のモンやから。光は、ガードだけ。絶対、手ぇ出すなよ。」

薫くんはそう言って、私の両手を取って……頬にキスした!

ひやああああっ!

びっくりしたけれど、両手を持たれてるから、リアクションできず……私は、ただうつむいた。

「桜子。こっち見て。」
薫くんの声がやたら優しくて、これまでになく甘くて……。

私は操られるように顔を上げた。
すると、薫くんは私のひたいにも、キスした!

ううう……恥ずかしすぎる。
直視できない。