小夜啼鳥が愛を詠う

だんだんおかしくなってきた。
自分がひどく道化じみて思えて……お腹の底から卑屈な笑いがこみ上げて来た。

そうして私は開き直った。

「うん。知ってる。初恋は実らないって言うけど、あそこまでお母さんべったりだと……実らないほうが幸せね。……うち、母が最初の結婚の時に姑とうまくいかなくて苦労したから。」

冷たい声でそう言っちゃった。

すると、薫くんは驚いたみたい。

「桜子……あいつのこと好きだと思ってた。」

そう言ってから、薫くんは慌てて口を押さえた。

……まるで禁忌ね。

どうして、そんな顔するの?
いつまで、薫くんは、私を……光くんのモノと思い込み続けるの?

泣いちゃいそう。

逃げ出したいけれど、踏ん張った。

「……もちろん好きよ。いつも心配。学校でも、ずっと見てる……薫くんの代わりに。」

ああああ。
中途半端なこと言っちゃった。

これじゃ、思わせぶりなだけで、半分しか伝わらないんじゃない?

しまった……。


「俺?なんで?」

……ほら、やっぱり。

ちゃんと言わなきゃ……ちゃんと……。

「だって、薫くん、光くんのこと大好きでしょ。いっつも、すごーく心配そうに見てるから。」

伝われ!
わかって!

薫くんは、不思議そうに私を見ている。

……ダメかぁ。

もう……薫くん、すごく頭いいのに……なんでわかんないかなぁ。
わかってよ~~~~。

心の中でジタバタしてる自分を叱咤激励して、私は頑張って言葉を重ねた。

「初恋は極度のマザコンで、次がブラコンって……私、趣味悪いのかな。」

緊張で声が上ずってしまった。

さすがに、これは通じただろう。

どうだ!

薫くんは呆けたように、ポカーンとしていた。

……あれ?

私、やらかしちゃった?
あきれられちゃったのかな?

しまった……。
どうしよう……。

涙がこみ上げてきた。

……ダメ。
恥ずかしくて、いたたまれない。

薫くんのそばから離れようと踵を返した。

でも、腕を薫くんに掴まれた。

「それより問題は歳だろ!こんなガキでいいのかよ!」

噛みつくように薫くんはそう言った。

怖いぐらい真剣な顔。

……薫くんの手が……震えていた。

愛しさが胸一杯に広がる……。

大好き……。

あなたが、好き……。