小夜啼鳥が愛を詠う

「私……やっぱり、薫くんには、相手にされてないみたい……。歳の差は、どうしようもないみたい……。あきらめなきゃね……。」

ぐしぐしと泣きじゃくって弱音をこぼした。

光くんは、私の気が済むまで、背中を撫でてくれていた。
まるで赤ちゃんをあやすかのような優しいリズムを刻む光くんの指。

……もし、このまま……光くんが私を受け入れてくれるなら……薫くんの言ってたように、私だけに向き合ってくれるのなら……もう、私……

「ダメだよ。さっちゃん。楽なほうに逃げても、後からつらくなるよ。」
光くんは私の耳元でそうささやいた。

「……ダメ?」

そう聞き直すと……額に光くんの唇が押し付けられた。

おでこに、キスしてもらっちゃった。

驚きより、なんだかうれしかった。

でも光くんの答えは、やっぱり
「ダぁメ。……ほら、もう泣き止んだね。行くよ。あーちゃんが待ってる。」
と、つれないモノだった。

光くんらしくて、私はちょっと笑ってしまった。

「……しっかりしてるようで、薫はまだ子供だから。……たぶん、これからもさっちゃんを困らせたり、結果的に泣かせてしまうかもしれない。」

廊下を歩きながら光くんは言った。

「でも、さっちゃん、長い目で見てやってほしい。……僕がなるべくフォローするから。」

「……ありがとう。でも、薫くんの気持ちを尊重してあげて。私のことは、いいから。」
すっかり自信のなくなった私は、本気でそうお願いした。

光くんは、苦笑して、私の手を取った。
「優しいね。さっちゃん。そういうところ、大好きだよ。」

「……光くんも。優しい。ありがとう。大好き。」
まるで、恋の告白で両想いを確認し合ってるみたいだけど、私達は穏やかな家族愛のような友情で結ばれた。

……こんなはずじゃなかったんだけどねえ。

まあ、いいか。
これはこれで、幸せ。



翌日からも、日中は3人で過ごした。

午前中は宿題や受験勉強に勤しんだけれど、昼からは山の上の公園や、浜辺に降りて、遊びまわった。

……でも、浜で目を離すと、光くんは海へと入って行こうとした。

薫くんはもちろん、私も何度も光くんが海へ入ってくのを阻止すべく海に分け入った。