小夜啼鳥が愛を詠う

……え……。

嫌がられてる?

びっくりして言葉が止まってしまった。

かたまった私に、薫くんは言った。
「ああ。桜子もそうやな。……光も、いい加減、ちゃんと桜子だけに向き合ってくれるといいな。」

……。

えーっと……。

今のは……。


……あれ?

私……告白するまでもなく、フラれちゃった……。


……うわぁ……。


ショック過ぎて何のリアクションもできない私に、薫くんは追い討ちをかけた。
「せっかくやし、ココにいる間にコクったら?……俺からも光に言うたるわ。」

無意識だろうけど……とどめを刺されてしまった……。

「……。」

ダメだ……。

涙がぶわっとこみ上げてきた。
私は慌てて薫くんから顔を背けた。

「……桜子?」

薫くんは、私の反応を照れてるとでも思ってるのだろうか。
私の腕を引っ張って、顔を自分のほうに向かせようとした。

やだ!

私は涙を見せないように、顔を背けたままうそぶいた。

「余計なお世話。ほっといて。」

「……桜子……。」
薫くんの手が私から離れた。


私はパタパタと走って、宛がわれているゲストルームに逃げ込んだ。

涙が……止まらない。

……なんだ……私……薫くんにとって、やっぱり対象外だったんじゃない。

恥ずかしい。
自惚れてたんだ……。

どうしよう。

情けない。

もう……やだ。



「さっちゃん。ご飯だよ。」
しばらくして、ドアの向こうから光くんの声が聞こえてきた。

本当は「いらない」と言いたかった。
でも、みんなに迷惑も心配もかけたくなかった。

「……ありがとう。すぐ行くから、先に食べてもらってて。」

ドア越しにそうお願いしたら、さっきより小さな光くんの声。

「わかった。……薫と何かあった?」

……うっ……。

嗚咽を止められず……泣きじゃくってしまった……。

「……さっちゃん……開けるよ……」
そう言って、光くんが入って来た。

廊下の明かりが、真っ暗なお部屋に射し込んだ。

「電気もつけないで……泣いてたの?」
光くんの声が近づいてくる。

「……光くん……もう……やだ。……無理。」
私はそう言って、光くんの影にしがみついた。

「さっちゃん……。」

光くんの手が、私の背中にまわり、優しくさすってくれる。