小夜啼鳥が愛を詠う

「知らない!」

そんなこと聞かれて、どう返事すればいいの!

慌てて足を早めたけど、いつも通り手はつないでいたので、あまり意味がなかった……というか、光くんの体重がかかって重いだけだった。

光くんはずーっと楽しそうにクスクス笑ってた。

……それが、光くん自身なのか、彩瀬さんが入ってるのか……やっぱり私にはよくわからなかった。

光くんは光くんだもん。




今年のクリスマスイブは家族で過ごした。

「あと何年、こうしてさっちゃんと過ごせるのかしらねえ。」
シャンパンでいい気分になったらしいママが、ほうっと息をつきながらそうつぶやいた。

「いや。ずっとだろ。……いいかい?さっちゃん。クリスマスは家族で過ごす日!バブルの頃のイタいカップルみたいなことしないように。」
ムキになって、パパはそう厳命した。

「……章(あきら)さんたら……。自分もしてきたでしょうに……。」

呆れるママに苦笑して見せてから、私はパパに言った。

「大丈夫。私、クリスチャンじゃないし、クリスマスは単に家族でケーキ食べる日でいい。てか、去年ボランティアしたお寺でもそうだったよ?」
「あら。プレゼントくらいはもらったら?……ね?パパ。」

ママがそう振ると、パパはおもむろに立ち上がった。

「これは、パパとママからのクリスマスプレゼント。……京都や真澄さんから、もらってるばかりなのも悪いからな。」

そう言いながら、パパが運んできたのは生成色の和紙のたとう紙に包まれた……着物と帯?

「誂えてくれたの?」

ドキドキする。

「ええ。気に入るかどうかわかんないけど。」
「気に入る!絶対!……すごくうれしい。」

七五三も、十三参りも、素敵な着物が京都の百貨店から送り届けられてきた。
折にふれ、光くんのおばあちゃんも、若い頃のお着物をいっぱいくださった。

私は単純にうれしかったけれど、パパとママにしてみれば、自分達で私に買い与えたかったのかな。

「開けてみていい?……着るのは……お正月まで我慢するから。」
「あら。今、羽織ってみればいいのに。」

ママにそう言われたけど……なんだかもったいない気がした。

「ううん。今年はコレ着て初詣する。ね!?」

……そう言ながら、たとう紙を破らないように、そっと開けた。