小夜啼鳥が愛を詠う

「うううう。」

困ってると、突然、拍手が起こった。
校長先生の話が終わったらしい。

……助かった。

「あーあ。続きは後で、だね。」

残念そうな光くんに私は必死の形相でお願いした。

「続きは、連珠盤に石を置いて、しよう?」

光くんはニッコリと天使の笑顔でうなずいた。
「じゃあ、うちでしよう。」

……周囲の空気が不穏になった……気がする。

私は声を出さずにかすかにうなずいた。

……泣きそう。



入学式が終わると、渋々光くんは自分のクラスへ戻った。

「……なんてゆーか……幸せな片想いね……。」
斜め後ろで全てを見聞きしてたらしい椿さんがそう言った。

返答に窮してると、野木さんが文字通り首を突っ込んできて、力説した。
「んなわけない!小門兄は野木の観察対象だから、よく知ってる!小門兄が小門弟以外にあんな態度とるの、見たことないわ!どう見ても、ラブラブ。どう見ても、つきあっとーやん!」

小門弟って、薫くんのことよね?
野木さんの呼称って独特だなあ。

「うれしいけど、そうでもないと思うよ?光くん、私にあんまり興味ないし。」

ほんとのことだ。
でも、変な謙遜にとられたみたい。

「古城さんって……」
椿さんは首を傾げたけど、すぐに笑って肩をすくめた。
「ま。あんなに綺麗で無邪気な男がそはにいたら、自己評価低くなっちゃうか。」

野木さんが、うんうんうなずいてつけ加えた。
「しかも小門兄は、頭がめちゃくちゃよくて、空手も全国レベル。……よほどの勘違い女じゃなきゃ、卑屈になるか。あ。でも、古城さんもめちゃ美人よ?」

……ほめられちゃった。

「ありがとう。でも、光くんのほうがずっと綺麗。」
そう言ってから、ふと気になった。
「これって、事実だから言ってもいいよね?卑屈に聞こえる?」

野木さんがぷっと笑った。

椿さんは大真面目に否定してくれた。
「いや。古城さんから卑屈とか、慢心とか、感じたことないし。だから前から話してみたかったの。同じ組配属で、ラッキー。」

びっくりした。
私も、同じように感じてたから。

「うれしい。私も、椿さんと仲良くなりたかったの。」
素直にそういったら、椿さんはガバッと私に抱きついて、何と、頬にキスしてきた!

きゃっ!!!

めちゃめちゃびっくりしたけど、やらしい感じじゃなくて、椿さんの親愛の表現なのだろう。