「ところで、私、薫くんのことが好きって、野木さんに言ったっけ?」
帰る道々、野木さんにそう聞いてみた。

すると、野木さんは失笑した。
「それこそ、今さら?さくら女は、顔にも態度にも出るから。誰の目にも明らか。小門兄も喜んでた。野木も、甘美な嫉妬に浸る小門兄を楽しんでる。」

……なんだ、それ。
意味わかんない。

「光くんが、嫉妬してるの?私が薫くんのことを好きになって?……ソレを望んでるくせに?」
わからなさすぎて、私は野木さんにそう尋ねた。

「そういう不毛な幸せもあるの。……あ。でも、さくら女には一生味わわせたくないから、私達不毛組のことは気にしないでいいから。」

野木さんは妙にキッパリそう言って、私の手を握った。

「大好きよ。さくら女。」

……はあ。
本当に、もう……。

いろんな不満も疑問もあるけれど、私は目をつぶった。

「私も。大好きよ。」

……それでいいよ、もう。