「大好き……。でも、野木じゃダメなの……。明田さんは小門兄と、死んだ彩瀬さんだけしか眼中にない……。」
「えーとえーと、じゃあ、光くんが明田さんを押し倒すの?」
私は、なかばやけくそ気味にそんなことを言った。
すると野木さんは、くすりと笑った。
「さくら女、キャラ崩壊してる。かわいいなあ。……でも、ダメ。明田さん、二度と後悔したくないって、理性と戦ってるの。だから、ダメ。」
前の時……彩瀬さんとの時は、後悔したのだろうか。
後悔したヒトが、あんなにずーっとずーっと想いを込めた絵を描き続けるものだろうか。
「明田先生、何を後悔してるの?二度とって。一度めは?」
お門違いなんだろうけど、私は野木さんにそう尋ねてしまった。
「……彩瀬さんを救えなかったこと。彩瀬さんに溺れて、有頂天になって、ただ甘やかすしかできなくて……彩瀬さんの病気に漠然と疑問を抱いていたのに、早めに病院に連れて行けなかったこと……明田先生、自分が、彩瀬さんを見殺しにした、って想いが消えないの。」
野木さんはそう言って、すぐそばにあったスケッチブックを開いた。
うわっ!
すごい!
野木さんも上手いけど、これは……レベルが違う。
鉛筆だけしか使ってないスケッチなのに、そこにはいきいきとヒトが息づいていた。
光くんをモデルに描いた彩瀬さんだ……。
なんて美しい……。
はかなげな美貌は、あの、山荘に掛かった遊女の彩瀬さんと同じ面差しなのに、全然違う。
光くんのしなやかな筋肉が削ぎ落とされて、華奢な彩瀬さんになってるだけじゃなくて……魔性?
「どの絵も、光くんじゃなくて、彩瀬さんなのね。」
そんな風に言うと、野木さんは重々しくうなずいた。
「だから。明田さんは、小門兄の中の彩瀬さんしか見えてないから。……描いても描いても、小門兄にならないって。彩瀬さんがどんどん前に出てきて、もう、小門兄が見えないんだって。罪悪感でいっぱいなんだと思う。もう限界なんだって。」
野木さんはそう言って、ため息をついた。
「野木は彩瀬さんを知らないから、よくわからない。野木を抱いたのは、彩瀬さんだと思ったんだけど……寝言で、お母君ではなくさくら女を呼んでたから、小門兄かもしれない。」
「私?私は、ないわ。野木さんの聞き間違いじゃない?……彩瀬さんでも、光くんでも、ママだけでしょ。」
「えーとえーと、じゃあ、光くんが明田さんを押し倒すの?」
私は、なかばやけくそ気味にそんなことを言った。
すると野木さんは、くすりと笑った。
「さくら女、キャラ崩壊してる。かわいいなあ。……でも、ダメ。明田さん、二度と後悔したくないって、理性と戦ってるの。だから、ダメ。」
前の時……彩瀬さんとの時は、後悔したのだろうか。
後悔したヒトが、あんなにずーっとずーっと想いを込めた絵を描き続けるものだろうか。
「明田先生、何を後悔してるの?二度とって。一度めは?」
お門違いなんだろうけど、私は野木さんにそう尋ねてしまった。
「……彩瀬さんを救えなかったこと。彩瀬さんに溺れて、有頂天になって、ただ甘やかすしかできなくて……彩瀬さんの病気に漠然と疑問を抱いていたのに、早めに病院に連れて行けなかったこと……明田先生、自分が、彩瀬さんを見殺しにした、って想いが消えないの。」
野木さんはそう言って、すぐそばにあったスケッチブックを開いた。
うわっ!
すごい!
野木さんも上手いけど、これは……レベルが違う。
鉛筆だけしか使ってないスケッチなのに、そこにはいきいきとヒトが息づいていた。
光くんをモデルに描いた彩瀬さんだ……。
なんて美しい……。
はかなげな美貌は、あの、山荘に掛かった遊女の彩瀬さんと同じ面差しなのに、全然違う。
光くんのしなやかな筋肉が削ぎ落とされて、華奢な彩瀬さんになってるだけじゃなくて……魔性?
「どの絵も、光くんじゃなくて、彩瀬さんなのね。」
そんな風に言うと、野木さんは重々しくうなずいた。
「だから。明田さんは、小門兄の中の彩瀬さんしか見えてないから。……描いても描いても、小門兄にならないって。彩瀬さんがどんどん前に出てきて、もう、小門兄が見えないんだって。罪悪感でいっぱいなんだと思う。もう限界なんだって。」
野木さんはそう言って、ため息をついた。
「野木は彩瀬さんを知らないから、よくわからない。野木を抱いたのは、彩瀬さんだと思ったんだけど……寝言で、お母君ではなくさくら女を呼んでたから、小門兄かもしれない。」
「私?私は、ないわ。野木さんの聞き間違いじゃない?……彩瀬さんでも、光くんでも、ママだけでしょ。」



