小夜啼鳥が愛を詠う

「明田さん、小門兄のことは見てるだけで、反応するくせに……野木がどれだけ迫っても、奉仕しても……ダメなの。」

あああああっ!
わかった!
もういいっ!
勘弁!
私には生々しすぎるからっ!

どんな顔をしていいかわからず、とりあえず両手で顔を隠した。
……恥ずかしい~~~。

でも、そんな私とは対照的に、低い……凍りそうな冷たい声で野木さんは言った。
「だから、小門兄としたの。くやしいから当てつけのつもりだったのに、……結局は、明田さんにおいてけぼりにされたモノ同士、傷をなめ合って……」

「……へ?」

び、びっくりした。
何、言った?

え?
野木さん?

ええっ?

光くんと、野木さん!?

あり得ない組み合わせに、私の頭は真っ白。

「さくら女はもう小門兄に気がないみたいだし、かまわないかと思ったんだけど……さっきの話……もしかして、明田さんと小門兄のことが原因で諦めたのなら……どうしよう?野木のこと、嫌いになる?」
野木さんは上目遣いで私にそう尋ねた。

とんでもない話をしてるんだけど、野木さんがあまりにも素直というか正直過ぎて、私は毒気を抜かれてしまった。

嫌いになるはずない。
変なヒトだけど、野木さんはいつもまっすぐで……。

そうだ。
私だけじゃない。
光くんも、朝秀先生も、野木さんを気に入ってた。
そういえば、パパも野木さんのことは「野木ちゃん」って呼んでたわ。

変わってるけど、たまらなくかわいいヒト。

私は苦笑をおさえて、言った。
「好きよ。野木さんも。光くんも。大切なお友達。……だから、野木さんは明田先生とうまくいくことを願ってたんだけど……光くんは……大変よ?」

野木さんもまた苦笑した。
「うん。知ってる。……ずっとさくら女が恋してたのを見てたし……小学校の時から知ってるし……。てか、野木も困ってる。こんなはずじゃなかったんだけど。復讐のつもりでやり逃げのはずだったのに。小門兄……魔性だわ……。」

あ~~~。
何か、聞いたことあるぞ、そのフレーズ。

魔性、か。

「そっかぁ。……え~……でも、明田先生のことも、好きなのよね?」

そう確認すると、野木さんは、何も言わずにホロホロと涙を流した。

その涙を見れば、何も聞かなくてもわかる。

ずっと好きだったんだもんね。