小夜啼鳥が愛を詠う

寒くないのかな。

お仕着せの白い作務衣が、何だか割烹着のように見えて、可愛かった。

「お疲れさま。どうぞ。」

お茶やコーヒーと一緒に、いろんな大きさと形、色のケーキを出してく。

……お寺なのにクリスマスケーキの到来物がこんなに多いなんて……おもしろいわ。

「わ。手が、真っ赤。大丈夫?お湯、汲んで持ってこようか?」

薫くんも藤巻くんも、水仕事を率先してやってるらしい。

「いいよ。どうせすぐ冷めちゃうから。」

藤巻くんはそう言って、お茶を入れた湯飲みを両手で持って暖を取った。
 
「マジでつべたいつべたいわ。お正月休みに他の人らが休まはっても、外の仕事は俺らがするしな。桜子は中の仕事しぃな。」
薫くんはそう言って、自分の手に、ハーッと息をかけた。

思わず私は、両手で薫くんの手を包み込んだ。

……ホントに冷たい。

「私も手伝う。」

そう言ったら、薫くんは片頬だけあげて笑った。

……そんな笑い方したら……なんか、大人っぽいというか、子供っぽくないというか……とにかく、かっこよすぎて困っちゃうんだけど。

「あかん。女のヒトは冷やしたらあかんねんろ?水が入ったバケツとか、重いで?……桜子には絶対持たせとーない。」
 
……ううう。

小門家って、ほんと、徹底してるわ、そういうとこ。
光くんも、必ず荷物とか持ってくれるもんなあ。

ママの教育か……おばあちゃんへの気遣いか……いずれにせよ、素敵。

「そう言えば、おばあちゃん……どう?成之さんが帰られて、幸せそう?」

35年ぶりに自宅に帰った成之さんは、どんな気持ちで過ごしてらっしゃるのかしら。

「うん。でも、まだ何となくギクシャクしとーる。お父さんもお母さんも会社の社長気分が抜けんみたいやし。光は、今さら人見知りモードやし。」

……ほんとに、今さら、だわ。
光くん……克服できたわけじゃなかったんだ。

「今日もパパのお店にいるのかなぁ。」
「……そうみたいや。俺らも夕方また行ってみよ。」
 
そんな話をしてると、黒い車が敷地内に進入してくるのが見えた。

「あれ?ここって、関係車両以外の車の乗り入れ禁止って言ってらしたわよね?……いいのかな?」

薫くんにそう聞いてみた。

「あかんあかん。なあ!藤やん!……あれ?」

藤巻くんが、いない……。