「……病院……わかった。救急車呼ぼう。」
パパの言葉に、私はびっくりして声を挙げた。
「やだ!夕方から熱っぽかったのに、夜風に当たって悪化しただけ!救急車なんて必要ない!病院、明日でいい!お家、帰る。」
「……わかった。薫くん、ありがとう。さっちゃん。」
薫くんの背中から降りようとしない私に、パパが両手を差し出した。
……不思議と、パパに抱いて運んでもらうことはすごく恥ずかしいことのような気になった。
子供みたい。
このまま薫くんがいい……。
そんな気持ちが、また、知らず知らずのうちに、薫くんにしっかり伝わってしまってたみたい。
「いや、マスター。このまま俺が運ぶわ。桜子、めまいしてるみたいやし、あんまり動かしたら可哀想や。……ロック解除して。」
薫くんの主張に、パパは渋々引き下がった。
「……でも、さっちゃん、こんな時間までどうしたん?今日は、登り窯見に行くって言ってたけど……薫くんも一緒だったのかい?」
エレベーター……気持ち悪い……。
パパの質問にちゃんと答えたいけど、目も口も開かない。
「いや。俺はサッカー。桜子、夕方には帰宅しとったみたい。……でも、光が朝から行方不明で、うちの母親が桜子に、光の居場所知らんか聞いて……一緒に探してくれとって……。」
薫くんは、そこで一旦言葉を切って、それから大きく息を吸って……私を背負ったまんま頭を下げた。
「すんませんでした!桜子を無理させてしもたんは、俺らや。桜子は悪くないねん。ごめんっ!」
……薫くん……。
薫くんこそ、謝るかことないのに……。
パパもちょっと苦笑した。
「いや。薫くん。君も別に悪くないだろ。……それで、光くんは?見つかった?」
「うん。いた。おか……母が確保してる。」
「そうか。……ただいまー。」
パパが玄関のドアを開けると、ママが待ち構えていた。
「さっちゃん!」
怒ってるというよりは、心配してくれてたことは、その声を聞くだけでよくわかった。
「……ごめん。ママ。」
薫くんの背に隠れようとしたけれど、薫くんは、くるっと身体を捻って、私をママの目前にさらした。
ママの手がひたいに伸びてくる。
たぶんそんなに冷たくないはずなのに、ぞくぞくと震えが走った。
「ひどい熱!……薫くん、ごめんね、ありがとう。もう……」
「ベッドまで、このまま運びます!」
薫くんはママの遠慮を力強くはねのけて、靴を脱ぎ捨てた。
私の靴は、パパが脱がせてくれた。
パパがママに事情を説明してくれてるのをおいて、薫くんはずんずんと廊下を進む。
パパの言葉に、私はびっくりして声を挙げた。
「やだ!夕方から熱っぽかったのに、夜風に当たって悪化しただけ!救急車なんて必要ない!病院、明日でいい!お家、帰る。」
「……わかった。薫くん、ありがとう。さっちゃん。」
薫くんの背中から降りようとしない私に、パパが両手を差し出した。
……不思議と、パパに抱いて運んでもらうことはすごく恥ずかしいことのような気になった。
子供みたい。
このまま薫くんがいい……。
そんな気持ちが、また、知らず知らずのうちに、薫くんにしっかり伝わってしまってたみたい。
「いや、マスター。このまま俺が運ぶわ。桜子、めまいしてるみたいやし、あんまり動かしたら可哀想や。……ロック解除して。」
薫くんの主張に、パパは渋々引き下がった。
「……でも、さっちゃん、こんな時間までどうしたん?今日は、登り窯見に行くって言ってたけど……薫くんも一緒だったのかい?」
エレベーター……気持ち悪い……。
パパの質問にちゃんと答えたいけど、目も口も開かない。
「いや。俺はサッカー。桜子、夕方には帰宅しとったみたい。……でも、光が朝から行方不明で、うちの母親が桜子に、光の居場所知らんか聞いて……一緒に探してくれとって……。」
薫くんは、そこで一旦言葉を切って、それから大きく息を吸って……私を背負ったまんま頭を下げた。
「すんませんでした!桜子を無理させてしもたんは、俺らや。桜子は悪くないねん。ごめんっ!」
……薫くん……。
薫くんこそ、謝るかことないのに……。
パパもちょっと苦笑した。
「いや。薫くん。君も別に悪くないだろ。……それで、光くんは?見つかった?」
「うん。いた。おか……母が確保してる。」
「そうか。……ただいまー。」
パパが玄関のドアを開けると、ママが待ち構えていた。
「さっちゃん!」
怒ってるというよりは、心配してくれてたことは、その声を聞くだけでよくわかった。
「……ごめん。ママ。」
薫くんの背に隠れようとしたけれど、薫くんは、くるっと身体を捻って、私をママの目前にさらした。
ママの手がひたいに伸びてくる。
たぶんそんなに冷たくないはずなのに、ぞくぞくと震えが走った。
「ひどい熱!……薫くん、ごめんね、ありがとう。もう……」
「ベッドまで、このまま運びます!」
薫くんはママの遠慮を力強くはねのけて、靴を脱ぎ捨てた。
私の靴は、パパが脱がせてくれた。
パパがママに事情を説明してくれてるのをおいて、薫くんはずんずんと廊下を進む。



