出会いは11年前




母親の再婚相手が連れてきたのは私より2つ下の男の子



その子は新しい父親の背に隠れながらチラチラと私達を見ていた




「優葉、この子は零くんってお名前なの。貴方の弟よ。今日から優葉はお姉ちゃんになるの」




まだ、7歳の私が理解できるようにゆっくりと話してくれたのを覚えてる



"お姉ちゃん"という言葉の嬉しさに顔中の筋肉が緩んでだらしない顔になってたかもしれない



小さな彼のそばまで走っていき視線を合わせ右手を差し出す




「よろしくね!零くん!」



「……よろしく。」





目は一瞬で離されたが私よりも小さく可愛らしい手はぎゅっと繋がれていて心の内側からぬくもりが広がっていった



……あの頃は可愛かった。



「姉さん、いつになったら俺と付き合ってくれるの?」




昔は私よりも小さかった背丈はこの間の身体測定で10cm程抜かされたことが判明した

その大きな体を上手に使い洗面所への行き道を遮っている



何もかも成長した私の可愛い弟はどうやら義姉に恋をしたらしく毎朝の恒例行事が今日も始まった




「あの、邪魔なんだけど」


「じゃあ、俺と付き合ってよ」




ちょっとまてぇ!!っと思わず叫びたくなるような台詞もここ数ヶ月毎回言われれば慣れるってもんだよ



感情的にならずにじっと目を見つめ今日も同じこと繰り返す





「いや。私達姉弟だから」



ほら、そして毎度毎度タイミングよく母さんの声がかかるんだよ





「学校遅刻しちゃうからどいて。」


「……わかった」






リビングで待ってるとだけいい零は渋々といった感じでその場を移動する



高校生になったんだしそろそろひとりで学校いけよなんて思いながらも日々の習慣は恐ろしいものでおもわず"はいはい"と答えてしまった